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 先日、久しぶりに深センにある清華大学研究科のMBAで講義をした。私の担当テーマはCPOで、授業は7時間も続く。こうした講義を行って思うことがある。それは、中国の学生と日本の学生の違いについてだ。日本でも、東京大学や早稲田大学で10年以上教鞭をとってきたので、どうしてもその違いについて考えてしまう。

 授業中の発言や質問は圧倒的に中国での授業での方が多い。しばしば、質問攻めにあって授業が中断するほどだ。分からないことをそのままにしておくのが嫌いなのかもしれない。しかし、実際に文章を書かせてみたりすると、期待ほど出来はよくない。学生に考えさせる実習の場などでも、なかなかアイデアが出てこなかったりする。清華大学でも多くの学生を教え、北京航空航天大学でも教鞭をとってきたが、その傾向はさほど変わらないように思う。

 同様に、ビジネスのシーンにおいても日本企業と中国企業の間には、かなりの違いがあるように感じている。日本企業の側に「何が欲しいのか、何がしたいのか」を聞けば、よく考えられた答えが返ってくる。ところが中国企業に同じ質問をしても、はかばかしい返事が返ってこないことがよくあるのだ。投資家に、何に投資をしたいのかを尋ねても、事業家にどんな技術を獲得したいのか聞いても、「何でもいい、分からない、教えてくれ」となってしまう。「本当にちゃんと考えているのか」と心配になることすらある。

 日本では、普段は黙っている人が多い。けれど、聞いてみると色々と深く考えていて、ちゃんと意見を持っていたりする。ただ、公の場で進んでそれを披露したり、旗色を明確にしたりすることには消極的な人が多いようだ。他人に評価されることを極端に嫌う傾向があるのかもしれない。

 一方、中国では人々が、収集がつかなくなるほど大きな声を出し合い、コミュニケーションを図っている場面によく出くわす。しかし、よく聞いてみると、何か一つの解答を求めて白熱した議論を重ねているわけではない、というケースがほとんどだ。何かを真剣に考えるために議論しているわけではまったくなく、気の向くまま思いつくまま、ただ大声で喋っているのである。

 ひょっとしたら多くの中国の人たちは「ちゃんと考え、意見をもつ」ということをあまりしようとしないのではないか。そんな疑問を感じ、いろいろな人に尋ねてみたことがある。すると、大多数の人たちが「そうかもしれない」という。その理由についてもいろいろ聞いてみたが、一番多かった意見は、「国民全体が、常に『こうしなさい』と指導され、それに従うことに慣れ切ってしまった結果では」というものだった。

 そんな事情を反映してか、日本企業と中国企業では、判断の下し方がまったく違う。

 日本企業の「判断のスピード」に関しては、みなさんもよくご存知だと思う。これに対して中国企業の判断は、一般論としておそろしく速い。ほとんどの場合、トップが出てきて即決するのだ。部下たちに意見を求めることはまずしない。部下に調査を依頼することはあっても、判断させることはほとんどないようだ。

 ところが日本企業では、トップが商談に来ることはめったにない。あったとしても、そのトップは商談で挨拶はするが、まったく喋らなかったりする。中国企業にとって、それは信じ難いことなのである。

 商談で使われる資料からしてまったく違う。多くの日本企業は、事業計画書などの作成に心血を注ぎ、多くの論考やその裏付けデータをこれでもかと盛り込む。その結果として、できた計画書はとても一度では読みこなせないページ数になったりする。それを提出する相手が日本企業であれば、「その努力に応えなければ失礼」ということで、とりあえずは読み、それを説明するための長いプレゼンテーションも聞いてくれるはずだ。

 けれどもこういった資料は、中国企業からはまず受け入れられない。日本流に多量の資料を出すと、間違いなく簡潔なものに作り直すことを要求されるだろう。再度作られた資料を渡して説明を始めようとすると、相手は「もういいです、分かりました」と言う。そして、「次」はなかったりする。判断するのは担当者ではなくトップである。DVDやビデオを使った感覚に訴えるものならともかく、数式や図表などいくら多用しても見てはもらえない。

 それどころか中国のビジネスでは、パートナーシップや投資などの判断は会議の前の会食でほぼ決まっていたりする。重要なのは綿密な計画書ではなく、会食での会話からうかがえる、相手方のトップの考え方なのである。

 しっかり考え意見はあってもなかなか決めない日本型と、じっくり考えてはいないようでも即断即決する中国型。さて今後グローバルを制するビジネススタイルはどちらなのだろうか。

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