
エディターズ・ノート
目次
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遊びの会社と、背徳の香りと
面白いなぁ。なかなか興味深い内容の技術発表会。久しぶりにワクワクと未来を感じた次第です。1月下旬にソニーが開催した、デジタル・カメラ用の撮像素子である裏面照射型CMOSセンサの新技術についての記者会見。同社 業務執行役員 EVPで半導体事業本部長の斎藤端氏は、力強く宣言しました。
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Linear Technology社のBCP対策に学ぶ
先日、高性能アナログICを手掛ける米Linear Technology社にBCP(事業継続計画)への取り組みを取材する機会がありました。既にご存知の方も多いかと思いますが、同社は4~6カ月分もの在庫をウエハーの状態で保管しておく「ダイバンク」と呼ぶユニークな取り組みをしています(関連記事)。
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ソニーの経営再建に必要な課題とは?
最終損益で4期連続の赤字が見込まれるソニー。よく知られている通り、薄型テレビ受像機に代表される、同社の屋台骨を支えると言われるエレクトロニクス事業の不振が業績悪化の大きな要因です。同事業の立て直しが、次の社長兼最高経営責任者(CEO)になる平井一夫氏にとって最優先課題になることでしょう。
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女性が作るとカメラはこうなる
「カネボウ化粧品さんとコラボレーションした製品なんですよ!」――。パナソニックの説明員の女性がうれしそうに教えてくれました。先週の2月9~12日にパシフィコ横浜で開催されたカメラ関連の展示会「CP+2012」を取材していた中での出来事でした。
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Volkswagenが社運賭ける新モジュール戦略
以前から大まかな概念だけが明らかになっていたドイツVolkswagen社の新しいモジュール戦略「MQB」がかなり明らかになってきました。MQBはドイツ語で「Modularer Querbaukasten」、英語で「Modular Transverse Matrix」の略で、横置きエンジン用車モジュ…
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いまこそLSI社に学びたい
米国の半導体メーカーであるLSI社(LSI Corp.)をご存知の方は少なくないと思います。大手ASICメーカーだった米LSI Logic社が、通信機器向け半導体などに強みを持っていた米Agere Systems社と2007年に合併し、社名を変更してできた会社です。なぜこの会社を取り上げるのかと言い…
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F-35の開発で生まれたソフト技術
先日、政府は自衛隊の次期主力戦闘機(FX)に、米国など9カ国が共同開発中の米Lockheed Martin社製「F-35 Lightning II」を選定しました。航空機産業は技術面で多大な波及効果があることから、FXの選定においても国内の防衛産業の基盤維持が一つの論点となっていました。ただし、今回…
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やってみなけりゃ分からない~物の管理で大切なこと
昨晩、ふと思い出して、あるブログを読み返しました。家庭で実施する片付けや洗濯にトヨタ生産方式の考え方を導入するという内容のものです。この1年間、衣類やバッグを収納しているクローゼットの整理整頓(2S)に取り組み、一定の成果を上げたと自負する私は、そのブログを読んでこう思いました。「あ~、この書き手…
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新技術が続々と導入される、ディスプレイの1年
2012年が始まってから既に1カ月以上がたちましたが、ディスプレイ業界は新技術の話題に沸いています。現在、最も注目を集めるのが有機EL。2012年1月に米国ラスベガスで開催された「2012 International CES」で、韓国のSamsung Electronics社とLG Electro…
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スポーツカー復権の兆し。なぜ?
最近、スポーツカーの話題がなぜか尽きません。代表例はもちろんトヨタ自動車と富士重工業が共同開発したスポーツカーの「86(ハチロク)」と「SUBARU BRZ」。それ以外にもホンダがデトロイトショーで「Acura NSX」を発表し、日産自動車は電気自動車のスポーツカーを見せています。今はエコカー隆盛…
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がんと闘う科学者の系譜≪訂正あり≫
日経エレクトロニクス2012年2月6日号の特集「がんと闘う ~超早期発見へ、テクノロジーで導く~」を小谷記者とともに執筆しました。本誌ではここ数年、次の成長市場と期待される健康管理・ヘルスケア分野の情報提供に力を入れています。今回は、医療分野の“最深部”ともいえる「がん医療」に踏み込みました。エレ…
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Kinectに見えるUIのミライ
昨年末に米Microsoft社のゲーム機「Xbox360」向けのジェスチャー入力装置「Kinect」を購入しました。ディズニーランドを体験できるKinect用のゲームソフトを遊んでみたいと思ったのがきっかけです。まだ荒削りの部分もあると感じましたが、未来のユーザー・インタフェース(UI)としての片鱗…
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改善は別の誰かの仕事で「私の仕事ではない」
少し前ですが、日経産業新聞に「フィアット、新労働協約、全工場で合意、生産性改善への協力盛る---一部労組は拒否」(2011年12月19日付)という記事が掲載されました。これを読んで筆者は「さもありなん」と思いました。日本人の感覚だと、従業員が職場の生産性改善に協力するのは普通に思えます。筆者も半年…
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「ポスト・リモコン」の本命技術は?
44年の歴史上、過去最高の来場者数を記録した世界最大の家電展示会「2012 International CES」。今回のCESで最も注目を集めた技術の一つが、第1回のCESの際に既に実用化されていた、テレビ用リモコンの代替技術の提案です。世界最初のテレビ用無線リモコンは、米Zenith Electr…
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ホンダ様、ハイブリッド車販売目標達成おめでとうございます。いや80万台じゃなくて20万台の方
「やったね。20万台だ」。ホンダの、「ハイブリッド車の世界累計販売台数が80万台を達成」という発表を見て、80万台で喜ばず、20万台で喜んだ私はヘソ曲がりだろうか。「80万台達成」の発表資料を拾い読みすると、「2010年12月60万台達成」「2011年12月80万台達成」。この差が20万台。1年で…
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今さらですが、2011年を振り返る
気が付けば既に1月末。唐突ではございますが、あるネタで2011年を振り返ってみたいと思っています。それは次世代パワー半導体材料の「SiC(シリコン・カーバイド)」。私がここ数年、追いかけているテーマでもあります。SiCを利用したパワー半導体素子(以下、パワー素子)をインバータやコンバータ、スイッチン…
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「ソニー+オリンパス」が実現したら…
経営再建中のオリンパス。医療用内視鏡の分野で圧倒的な強さを誇る同社をめぐり、資本・業務提携先として複数の企業の名前が挙がっている。中でも、有力候補の1社とされているのが、医療・ヘルスケア関連事業の強化を目指すソニーだ。もっともソニーは既に、医療関連事業に取り組んできている。例えば、医療向けの記録装置…
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間抜けさにもまた一興
最近、このエディターズ・ノートでよく取り上げられているお掃除ロボット「ルンバ」。また、そのネタかとお叱りの声が聞こえてきそうですが、実は昨秋、我が家も導入しました。
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世界半導体サミット、開催します
激しい競争が続く半導体業界。現在、論理LSI市場を席巻しているのが、「ファブレス半導体企業」+「ファウンドリー企業」の組み合わせによる、いわゆる水平分業型のビジネスモデルです。前者の代表例はFPGAベンダーで、後者では台湾TSMCや米GLOBALFOUNDRIES社などが有名です。一方、垂直統合型の…
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報道が間違えやすい、あの問題
最近エネルギー関連技術について記事を書くことが多いのですが、そこで最も神経を使うことの一つが、単位が正しいかどうかです。例えば、太陽電池の発電出力「W」と発電量「Wh」は多くの記事でしばしば混同される単位です。電力関連の技術者はこの手の間違いに敏感で、メディアの科学リテラシーを揶揄する材料になってい…