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「本業とは縁遠くほとんど価値の無いベンチャー企業を734億円で買って子会社化し、わずか1年後に買収額のほぼ全額を損失処理」
「ケイマン諸島籍の正体不明の会社に520億円もの手数料を支払い」

 これらのオリンパスの不透明な取引がファクタという雑誌の8月号に取り上げられました。オリンパス元社長のMichael Woodford氏はファクタの記事をきっかけに自社の不透明な取引を知り、問題を解明しようとしましたが、社長就任からわずか半年で突然の解雇。CEOに就任してからは、たった2週間での解雇でした。

 Woodford氏が冒頭の取引を追求したために社長を解任された、とWall Street JournalやNew York Times、Financial Timesといった欧米のメディアが大々的に報じたことから、日本でも、大騒ぎになりました。オリンパスの株価は半額まで急落、米連邦捜査局(FBI)が捜査を開始、Woodford氏の解任後に社長に復帰した菊川剛氏の辞職と、まるでスパイ小説のような展開です。

 1000億円を超える資金がどこに消えたのか、まだ明らかにされていません。巨額で不透明な取引はもちろん問題です。しかし、それと同じくらい問題なのは、このような不透明な取引が放置されてきたこと。もし、ファクタがスクープしなければ、そして、もし、社長がWoodford氏のような外国人でなければ、事態はいまだに隠蔽されていたのではないか。

 経営者も人間ですので間違った判断をするでしょうし、無意識のうちに犯罪まがいの悪いことをしてしまうこともあるかもしれません。企業にとっては、経営者の暴走や間違った経営判断をチェックすることは、企業の根本的なあり方に係わる極めて重要な問題です。経営学では企業統治・コーポレートガバナンスと呼ばれています。

 海外のメディアなどからは、オリンパスの問題に関して、経営陣を監視するはずの取締役会が機能していないのではないかという厳しい批判が出ています。オリンパスは日本を代表する優良企業ですので、日本企業全体の透明性や企業統治・コーポレートガバナンスへの信頼感を揺るがしかねない事態になっています。

 実際に、最近掲載されたFinancial Timesの野田首相とのインタビューでは、「オリンパスの問題は、市場経済国としてのルールに従うべき日本の評価をおとしめる恐れがある」とオリンパスの問題が取り上げられたそうです。報道機関が総理大臣に対して一つの企業のスキャンダルを質問するのは異例のことで、欧米の投資家がいかにこの問題を重視しているかがわかるでしょう。日本の株式市場の売買の半数以上が海外の投資家という状況で、「オリンパスだけでなく他の日本企業も、経営が不透明なため投資しづらい」と海外の投資家から日本企業がそっぽを向かれたら、大変なことになってしまいます。