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 米国の電力会社のエンロンや、英国王室との関係の深さから「女王陛下の銀行」と呼ばれた英国のベアリングス銀行など、違法な取引や粉飾決算によって破綻にまで追い込まれた企業が後を絶ちません。オリンパスの問題については今後の調査の結果を待つことになりますが、もしこれらの企業と同じような、企業統治の悪い例を作ってしまったのならば、本当に残念なことです。

 このような経営上の問題が起こり、オリンパスのエンジニアのみなさんは本当に気の毒です。エンジニアの方々は何も悪いことをしていない。企業統治に関して最前線のエンジニアができることは、極めて限られている。ほとんどない、と言ってもいいでしょう。このコラムは「エンジニアのためのMOT」なのに、処方箋を書けず申し訳ありません。

 ただ、わずかに救いなのは、取引が問題となるのと同時に、オリンパスの本業である医療機器事業については、技術力や事業の強固さが改めて認識されていること。オリンパスの株価が半額に下がり「お買い得」になったことから、買収の噂も聞こえてくるようになりました。

 激動の変化の渦中に居るのは、スキャンダルに突然見舞われたオリンパスのエンジニアだけではないでしょう。このコラムの読者の方にも、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。報道によれば、国内の大手液晶テレビ・メーカーや大手プラズマ・テレビ・メーカーの中には、技術力では世界トップレベルにありながら、事業縮小に追い込まれつつあるところが出てきているようです。

 社運を賭けて巨額の投資を行った事業が、わずか数年後には事業縮小ですから、想像できないほど変化のスピードは速い。有望事業と言われている太陽光発電でさえも、供給過剰や中国の会社の台頭から、世界市場で供給者の淘汰が始まっています。

 一方、私たちの人生を考えると、働かなければいけない期間は実はかなり長いです。年金の支給年齢が段階的にどんどん上がっていくことを考えると、大学を卒業してから45~50年も働く必要があるのではないでしょうか。年金の改革が進まなければ、数十年後には年金の支給さえも無くなってしまうかもしれません。

 大学・大学院の新卒を企業が一括採用する日本社会では、大学を卒業して就職した最初の会社・仕事が非常に重要です。できれば、一生食べていける仕事を見極めたいところ。しかし、50年後には会社の事業構造だけでなく、国家レベルの産業構造や政策もガラッと変わってしまいます。