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 台湾のある市場関係者は、「CMIの財務状況を見る限り、フォックスコンに追随してブラジルに進出し、工場を新設する経済的な余力はなく、生産ラインの売却や技術移転になる可能性が高い」と指摘。その上で、ブラジル市場における液晶テレビの需要に照らすと、売却するのは、テレビ用パネルのほかタブレットPC用も供給することができる第6世代工場が有力だとしている。一方、第7.5世代工場の場合には、テレビ用が主力となるという。

 出資者の一人に挙げられているバチスタ氏は、米誌『フォーブス』が発表した2011年世界富豪ランキングで、資産300億米ドルで8位に入った世界的大富豪。ブラジルの長者番付ではトップだという。新設するパネル工場に対する初期投資40億米ドルのうち、バチスタ氏が個人として5億米ドル、BNDESが12億米ドルをそれぞれ出資。その他の資金については、別の出資者を募る。これに対してフォックスコンは技術の提供をメーンとし、出資はしないとされる。

 フォックスコンがブラジルに大規模な投資をすると報じられ始めたのは今年4月のこと。当時の中国メディアの報道によると、訪中したブラジルのジルマ・ルセフ大統領が4月12日、中国の胡錦涛国家主席との会談の中で、「ブラジル政府はフォックスコンの投資計画を検討している」と語ったことから、フォックスコンの投資計画が明るみに出た。さらにルセフ統領は、フォックスコンの対ブラジル投資が最大で120億米ドルに上る可能性があることを示唆した。

 そして同じころ、ブラジルのアルイージオ・メルカダンテ科学技術相が、「フォックスコンは2011年11月末から、ブラジル工場でiPadの生産を始めたい意向を持っている。交渉はまだ途上だが、私はそれが可能だと自信を持っている」と語った。実現すれば、フォックスコンがiPadを中国以外の国で生産するのは初めてのことだけに、台湾や中国のメディアは色めき立った。

 ブラジルの消費者の間でハイエンドの電子製品に対する関心が高まっていることを受け、世界的ブランドメーカー各社は、ブラジル市場の開拓を目指している。さらに、ブラジルに生産拠点を設けることで、南米南部共同市場(メルコスール)に加盟するアルゼンチン・ブラジル・ウルグアイ・パラグアイをはじめ、南米市場全体の開拓も望める。ただ、複雑かつ高率な税制により製品価格が高くなりすぎることや、インフラの未整備、割高な労働コスト、治安の不安など、いわゆる「ブラジル・コスト」と呼ばれるものが、メーカーの進出を躊躇させてきた。

 例えば、最新鋭機のiPhone 4Sが12月18日、ブラジル、台湾、イスラエル、トルコ、ロシアなど20カ国・地域で発売されたが、ブラジルでの価格は高い輸入関税を反映し、16GBモデルが2599レアル(約10万9000円。1レアル=約42円)、64GBモデルが3399レアル(同約14万3000円)。ソフトバンクでは、16GBの一括価格が約4万6000円、64GBが同6万7000円で販売しているのだから、かなり高いことが分かる。中国系メディアは、現時点で世界で最も高いと報道している。さらに中国メディアは、ブラジル政府がiPadに対し、最高で60%の関税をかけていると指摘。価格は16GBモデルが1649レアル(約6万9200円)と、やはり4万4800円の日本に比べかなりの割高となっている。

 フォックスコンは2003年、初めてブラジルに進出した。同社ウェブサイトには、ブラジルの製造拠点として3カ所が掲載されている。このうちサンパウロには無線通信のWLBG(Wireless Business Group)、コンシューマ及び法人向けPCのPCEBG(Personal Computer & Enterprise Product Business Group)、マザーボードやボディ、PC関連部品のCMMSG(Component Module Move Service Group)の事業グループがある。マナウスにはWLBG、PCEBG事業グループ、レアアースのニッケルが採れる鉱山があるということで一躍注目された東部バイーア州サンタ・リタにはCMMSG事業グループを置いている。