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中国モノマネ工場〜世界ブランドを揺さぶる「山寨革命」の衝撃、阿甘著、徐航明/永井麻生子訳、生島大嗣監修/解説、1,890円(税込)、A5版、328ページ、日経BP社、2011年11月
中国モノマネ工場〜世界ブランドを揺さぶる「山寨革命」の衝撃、阿甘著、徐航明/永井麻生子訳、生島大嗣監修/解説、1,890円(税込)、A5版、328ページ、日経BP社、2011年11月
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原書である「山寨革命」
原書である「山寨革命」
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中国が発展してきた一つの理由。それは、素早く最先端製品のコピー機を作成する“模倣技術”といっても過言ではありません。コピー機は「山寨携帯」に代表されるように、山寨という言葉で表されますが、ともすると山寨は「パクリ」など悪い意味と同意義ととられてしまいます。しかし、素早くコピー機を生み出す原動力は、限られた人員で限られた仕事を限られたコストで実施する小企業群であり、それらの企業がチェーンをなすことで、ブランドをも飲み込む製品を生み出すのです。現在の工業化社会を一気に崩壊させる可能性すら持つこの「山寨革命」について詳しくしたのが、『中国モノマネ工場―世界ブランドを揺さぶる「山寨革命」の衝撃』です。

 著者は、経済・金融・IT分野で活躍する、中国に在住する気鋭のジャーナリスト・作家、阿甘氏。「中国モノマネ工場」の訳者で、Tech-On!連載コラム「イノベーション、中国発?!」の筆者である徐 航明氏が、同書の生まれた背景などについて、阿甘氏にインタビュ^しました。

徐:阿甘さんが中国で執筆した『山寨革命』(中信出版社)の日本語訳である『中国モノマネ工場―世界ブランドを揺さぶる「山寨革命」の衝撃』(日経BP社)が2011年11月17日に日本で販売されました。感想をお聞かせください。

阿:徐さんをはじめとする日本版の出版関係者に深くお礼を申し上げます。私はさほど著名な著者ではありません。また、中国はまだ日本ほど発展しているとは言えない状況ですが、そんな中で本書が発行されたことは、大変な幸運に恵まれたと思っています。と言っても中国が日本に比べて劣っているというわけではなく、これは一つの「伝播のルール」だと感じています。日常生活の中で、我々が少し気をつければ、思想や見識において、地位の低い人間が地位の高い人間に比べて必ずしも劣っているというわけではないことが分かるでしょう。しかし、地位の高い人間の言うことの方が影響力があることは認めざるを得ません。

 では、なぜ地位の高い人間の言葉の方が影響力を持つのか。なぜ先進国の人間が書いた書物はそうでない国の書物よりも他の国で受け入れられやすいのか。この事実は実は大変深い意味を持っています。結果から見て、先進国の書物の方がそれ以外の国の書物よりありがたがられるというのは、いい状態とは言えません。理想的なのは最もいい意見が選ばれ、伝えられることであり、そうすれば、最も効率的だと言えます。にもかかわらず、この種の効率的ではない状況になっているのは、我々に最善の策をとる技術がないからであり、それは旧来の考え方の影響によるものでもあると考えられます。たとえば、日本の製品は一般的に大変高い品質を誇っており、それに比べて中国製品は安価ではあるが、品質はまだ満足いくものではないと考えられています。ですが、実際には中国にも高品質の製品はあります。しかし、消費者は漠然と日本製品に○をつけ、本当に自分がいいと思ったものに対して「これがいい」とは断言しないのです。

 しかし、このような現象も少しずつ変わってきていると感じています。具体的に言えば、旧来のピラミッド型社会システムに変化が生じているということです。長きにわたったピラミッド型社会はネットワーク型社会にとって代わられる、という趨勢は確実なものになるでしょう。本書が日本で出版されるということは、偶然とも言える出来事ですが、数年前でしたらこのようなことはあり得なかったでしょう。つまり、今回の出版はこの意見が正しいことを表す証拠の内の一つと言えましょう。

徐:この本が日本で出版されるに時も、確かに「ネットワークの力」が大きく働きました。最初、私が監修の生島大嗣氏に本書を紹介したとき、実は我々は初めての対面だったのです。私は彼のブログを通して彼の存在を知り、そして実際に会うことができたのです。本書の内容には、生島氏も大変共感を覚えられ、日経BP社に連絡を取り、出版のOKを得ました。その後、生島氏が苦労して翻訳コーディネーターの王蓉美氏を探し、その結果、翻訳者である永井麻生子氏と知り合いました。もともと何のつながりもない我々4人を本書が結びつけ、インターネットという大変便利なツールを通して我々は翻訳、校正作業を完成させたのです。

 本書の出版の企画立案や翻訳はほとんど我々の本来の業務以外の時間で行われました。我々4人のこの緊密でありながらも緩やかな結びつきは正に「山寨グループ」とでも呼ぶべきものです。本書の中で述べられている「グルーポン友達」のようなもので、まさに「山寨社会」の縮図とも言えます。そして、我々は今後もこのように協力していこうと考えています。

 「山寨携帯」現象に関する本は、中国では数冊ほど出版されていましたが、この本は、その中でもっとも反響を呼んだ一冊だと思います。出張中の北京の書店でこの「山寨革命」を見つけました。表紙に書かれていた『一時の「模倣」がコピー、普遍の「模倣」は革命』、『短期の「低価格」が方策、長期の「低価格」は革命』というキャッチコピーに惹かれました。早速購入し、一読した快感は今も覚えています。「山寨」には奥深いものがあると考えさせられたのです。この本を書こうと思ったきっかけと、その目的はどのようなものだったのでしょうか。

阿:本書が生まれる背景には二つの事象があります。一つは中国の「山寨携帯」現象は一種の独特な生産方式であり、本書中で定義した「山寨」は通常にいわれている「モノマネ」とは意味が違い、一種の新しい生産方式である、ということ。初期の携帯電話というと、それぞれの部品の設計から生産まで、一つの大手メーカーの「管理」と「規格」によってつくられていました。しかし、山寨の携帯電話はいろいろな中小メーカーから部品をかき集めてできたものです。多くのメーカーは、一種類であれば部品を設計・生産できます。市場を通じて協力する相手が見つかれば、彼らはそれらの部品を利用して非常に安価な携帯電話を作り、そして売ることができるのです。現実は、このやり方が大変効率的であることを証明しました。本書に書いたように、私はこの現象の背後にある本質を見つけ出すことに成功しました。もともと私はそういったことが得意なのです。

 二つ目は、出版界でここ数年の内に「脱中心化」に関する書が出てくるようになったことです。『ヒトデはクモよりなぜ強い』『クラウドソーシング』などの書は「脱中心化」について述べています。一部の企業、特に創造性が強く求められる業界のマネジメント担当者は、最もいい方法が管理側の頭の中ではなく、現場の職員の中にあるのだと気付き始めているのです。

 理論的に考えて、中国の携帯電話の実情を見ているうちに、私はこの二つの点を結び付けて考えるようになり、本書の核としたのです。