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テレビは余命7年、指南役著、1,470円(税込)、単行本、248ページ、大和書房、2011年9月
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 テレビ局の出入り禁止覚悟で筆を執りました。今こそ、テレビというメディアの課題を洗い出し、先を占う総括が大切と思ったからです。2011年7月のアナログ停波をキッカケに、このままではテレビ局のビジネスモデルは立ち行かなくなる。そうした危機感から、テレビの余命を宣告したのです。  日本では、タレント本などは多く存在しますが、テレビというメディアの内実を正面から取り上げた本は少ない。テレビ局に出入りし、内実を良く知るライターやジャーナリストは、なかなかテレビというメディアそのものを批判しません。これは「何か報復があるかも」という怖さがあるからです。

 私もテレビ業界に関係する者として,その思いはあります。でも、内容の濃い面白い番組を、汗をかきながらきちんと制作しているテレビ関係者が報われる業界になる一助になればと考え、本書を執筆することにしました。刺激的なタイトルの本ですが、愛のあるテレビ批判を展開したつもりです。実際、本を読んだテレビ局の関係者からは、好意的な感想を聞くことが少なくありません。

ザッピング対策がザッピング視聴を増やす皮肉

指南役 代表の草場 滋氏
くさば・しげる。エンターテインメント企画集団「指南役」の代表。作家。ホイチョイ・プロダクションズのブレーンも務める(写真:加藤 康)
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 今、テレビ業界は構造的な危機に瀕しています。特に大きいのは、20歳代前半の若者を中心にテレビを見ない人が増えていることです。ケータイやパソコンは使いこなしても、テレビは持っていないという人すら珍しくない状況があります。いわゆる若者の「テレビ離れ」です。

 そのキッカケの一つは、バラエティ番組の毎分視聴率を上げるため、テレビ局が1990年代に発明した演出手法にあります。CMの直前に「この後、とんでもないことが~」といった「フリ」を入れ、CM開けに2分ほど番組をさかのぼって、それまでの流れをおさらいする、あれです。CM中に視聴者がリモコンでチャンネルを頻繁に切り替える「ザッピング視聴」の対策として、今では多くの番組が取り入れています。

 導入当初こそ新鮮でしたが、各局ともに同じような内容の番組ばかりになり、演出の内幕は視聴者にばれてしまいました。加えて、毎分視聴率を気にするテレビ局では、じっくりと腰を据えて見る番組を制作しににくくなった。皮肉にも、ザッピング対策の演出が逆にザッピング視聴を増やした現実もあります。テレビ局の演出を信用しなくなった視聴者が、テレビから離れるのは時間の問題だったわけです。

 では、どうすればいいか。