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世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記、竹内 健著、819円(税込)、新書、203ページ、幻冬舎、2012年1月
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 あなたが異才のスーパー・エンジニアなら、どの業界でも生き抜いていけるでしょう。でも圧倒的多数は、ごく普通のエンジニア。本書はそういう人たちに向けて、技術者として世界の第一線に立ち続けるための私なりの方法論を、自らの経験に照らして書きました。

 エレクトロニクス業界は、技術が廃れる速度がとても速い。この業界に身を置くのなら、まずはこの事実に自覚的であるべきではないでしょうか。ある技術を極めても、20年も経てばその技術は陳腐化してしまう。特定のスキルだけで技術者人生をまっとうできると考えるのは、甘いと思います。

 私は大学卒業後、東芝に入社してNANDフラッシュ・メモリの研究開発に従事しました。今では考えられませんが、入社当時、同メモリの開発部門の設計チームには私を含む3人しかいなかった。でも、だからこそ競い合うようにアイデアを出し合いました。当時は実現が難しいとされた多値技術もその一つです。

東京大学准教授の竹内 健氏
1993年に東京大学大学院を修了し、東芝に入社。NANDフラッシュ・メモリの研究開発やマーケティングなど多岐にわたる業務に従事。2008年から現職。(写真:中村 宏)
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 NANDフラッシュ・メモリの開発に没頭する一方で、次第に「これだけではダメだ」という気持ちが強くなりました。技術だけでなく、技術を生かすためのビジネスを学ぶ必要があると感じたのです。そこで、MBAを取ろうと決意し、無理を押して米Stanford Universityに留学しました。

 この留学では、現在の自分につながる大切なことを学んだと思います。ある組織に自分がどのような目的意識で属し、その組織や社会にどのように貢献できるかを言葉で表現する能力です。これは技術者に必須のスキルであり、大学教員に必須のスキルでもあります。技術には詳しいけれどプレゼンは全く駄目というのでは、自分を世界に売り出していくことは難しいでしょう。

 留学という経験を通じて「外の世界」に触れることの大切さを実感しました。このことは後に東芝を飛び出すことにもつながりました。

 一企業に属する身でどのように外の世界に触れ、自らの世界を広げていけばよいのか。そのように悩んでいるのなら、まずは人脈を増やす努力をすればよいと思います。例えば、国際学会は人脈作りの絶好のチャンス。学会に参加する機会すら与えられないのであれば、休暇を取って自腹ででも参加してみてはどうでしょう。それに見合う対価はきっと得られるのですから。(談、聞き手は大下淳一)

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