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今回紹介する書籍
題名:买故事 让你的产品和身价高卖10倍的秘密
作者:黄学焦、趙彤
出版社:南方出版社
発行日:2012年1月

 今週も先週に引き続き、『卖故事让你的产品和身价高卖10倍的秘密(日本語訳:ストーリーを売る あなたの商品とあなたの価値を10倍高く売る秘密)』を紹介する。前回は、商品を売るのになぜストーリーを語らなければならないのか、そしてどのようなストーリーが優れたストーリーなのかについて、本書に基づいて紹介した。今回はサブタイトルに挙げられた、ストーリーが高めてくれるもののうち、「身价(身価)」に関する記述を見ていきたい。

 中国語の「身价」というのはよく使われる言葉で、辞書を見ると「ステータス」などと出てくる。実際は総資産を指したり、場合によってはその年の収入を指したりするような使われ方を目にすることもある。具体的かつ経済的な意味を含めたうえでの「自分の価値」を指す言葉だと言っていい。本書では自分の売る商品だけでなく、自分の価値もストーリーによって高めることができる、と断言する。

 前回書いたように、優れたストーリーは人の心に触れる。本書では、時にストーリーは人の一生をも変え得ると述べている。では、そのストーリーを用いて「身价」を上げるにはどうすればいいか。

 本書の小見出しをざっと見てみよう。なるほど我々の目を奪うストーリーを感じさせる言葉であふれている。

 ・ストーリーを語れる上司はリーダーシップがある。
 ・ストーリーでものの道理を包んで出せ。
 ・物を売ろうとする前にストーリーを売れ。
 ・ストーリーの多い人物が仕事のできる人物だ。
 ・背後にあるストーリーが身价を上げる。
 ・会社にもストーリーを持たせよ。

 突き詰めていえば、ストーリーのない品物が買われないように、ストーリーのない人物に人はついていかない。自分独自のストーリーを持つことこそが自らのリーダーシップを高め、時にはその会社の価値をも高めるものなのである。もちろん、これは話をするのがうまいなどという表層的なことを言っているのではない。本書でもストーリーを語る人には2種類ある、と書いている。一つは他人に関するストーリーや架空のストーリーをうまく語る人、もう一つは自らがストーリーを作り続ける人だそうである。自らストーリーのある行動をとることがその人の価値を上げるポイントとなるということだ。

 話を商品とストーリーという観点に戻そう。なぜ、いま品物を売るのにストーリーが必要なのか。中国国内的な環境に関しては、本稿第1回目で書いたように、1978年からの改革開放政策により「物を売る」ということの意味が全く変わったことがあげられるが、本書ではグローバル化の影響を指摘している。グローバル時代では商品そのもので全く新しいものを生み出すのは難しいため、商品そのものではなくその周辺のストーリーが必要になるというのだ。いわゆるコモディティ化の波に飲み込まれないための方策ということだろう。

 それは個人としても同じことで、グローバル化すれば同じような能力を持つ人材はいくらでもいる。その中で自分の価値を上げるにはやはりストーリーがあるか否かということになる。

 そういった点からみると、本書は中国人作者の書いた本ではあるが、むしろ日本人にこそ読むべき内容なのかもしれない。