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 「これ、気持ちいいもんじゃないっすね」。

 日経エレクトロニクスの2012年6月11日号の特集「『ガラパゴス』のウソ」で掲載した写真を見た同僚記者が言いました。電動カミソリ大手のドイツBraun社が、海外で販売している製品の宣伝用写真です。

 上半身裸のちょっとマッチョなイケメン俳優が、体毛処理専用の電動カミソリで脇毛を処理する様子を写したもの。「え、男が脇毛かよ」。そう思った読者は、もしかしたら保守的かもしれません。ドイツでの調査では、3割を超える男性が脇毛などの体毛を手入れしていると答えたそう。30歳未満に対象を絞ると、その割合が6割以上に跳ね上がるといいます。

 そうか、気持ちの良いもんではないか。普通ではないなと思いつつも、あまり違和感なく掲載したので、同僚の一言にちょっと意外な印象。それでも、言われてみれば、確かに「気持ち悪い」と考える人もいるかなと思い直しました。男性の体毛処理への印象の良し悪しは、どこで線が引かれるのか。すね毛か。脇毛か。これはこれで、興味深いテーマです。

現地化には巨大な存在感の反例が

 もちろん、体毛処理が特集のテーマではありません。生活者の消費スタイルの変容を調べてみたい。それがモチベーションです。今回の特集の隠れたテーマは「普遍性」。エレクトロニクス業界はこの2年ほど、新興国市場を目指して動き出しています。その取り組みで尊ばれるのは現地化です。「日本にはない現地ならではのニーズを吸い上げ、商品企画に生かす。それが日本メーカーに足りなかった部分だ」という話を何度となく耳にしてきましたし、記事にも書いてきました。「ある国では、でかいスピーカーをテレビに付けないと売れない」とか、そういう類いの話です。

 「そうかもしれないなぁ」と思います。ライバルの東アジア企業は駐在員を現地に溶け込ませ、そこから得たニーズを開発に生かしているらしい。それが定説。だとすれば、日本メーカーは改善すべきでしょう。

 ただ、良くも悪くも記者という生き物は天の邪鬼で、「でも…」と思ってしまうわけです。特に業界を挙げてほとんどのメーカーが大合唱をしている時には「本当なの?」と。話を聞けば聞くほどに、何か小骨がノドに引っ掛かったような、居心地の悪さ。そうなったら止まりません。それは、たぶん理科系出身の男子的には、巨大な存在感の反例があるからなのです。「それじゃあ、iPhoneはどうなんだ」。この何年か、他の追随を許さない米Apple社のヒット商品は現地化を意識しているのか。「必ずしもそうではないかもなぁ」とも思うわけです。というか、むしろ現地化なんてまったく視野に入っていなさそうな。

 そこで、現地化が尊ばれる時代だからこそ、あえて普遍性を意識して特集を構成してみました。その尖った事例の一つが、体毛処理専用の電動カミソリです。先進国を中心に広がる美を意識する男性の消費スタイル。都市文化の発達と共に社会全般として性の役割が曖昧(特に男性の女性化)になる「メトロセクシャル化」と呼ばれる事象の例です。