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 2012年を展望すると、中国3大通信事業者の普及推進製品はいずれも低価格かつ高性能な「1000人民元3Gスマートフォン」を重点としている。このような低価格スマートフォンが2012年の中国携帯電話市場の成長を主導している。2011年の中国のスマートフォン調達案件において、落札メーカーの半分以上は中国の携帯電話機ブランド会社だった。価格帯が1000人民元以下のスマートフォンはいずれも中国ブランド会社が発売しており、1000~2000人民元の価格帯の市場に世界の大手メーカーが参入している。低価格スマートフォンの利潤の低さが世界の大手メーカーの入札意欲を下げ、中国の携帯電話機メーカーの事業機会を高めていることが分かる。

低価格と現地化戦略で立ち上がる中国の携帯電話機メーカー

 2011年の中国スマートフォン市場では、中国の携帯電話機メーカーの市場シェア向上が著しい(表1)。上位10社のうち、中国ブランド会社の合計市場シェアは2010年の6.6%から2011年の24.5%に急上昇しており、上位10社以外の多くの中国携帯電話機メーカーもスマートフォンにおける投入を始め、顕著な成長を見せている。成長の主な理由には、中国の3大通信事業者の低価格スマートフォンに対する強い需要であり、さらに中国の携帯電話機メーカーも低価格スマートフォンの主な供給元になっていることが挙げられる。

表1 中国スマートフォンの市場シェア
出典:工研院IEKの資料(2012年5月)
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 中国の携帯電話機メーカーの成長を後押ししているのが、半導体チップとコンテンツ・サービスである。

 まず、低価格スマートフォン向けの半導体チップについて。米Qualcomm社(高通)や台湾MediaTek社(聯発科技)などの半導体チップ・メーカーはいずれも、3G低価格スマートフォンに向けたターンキー・ソリューションを発表している。さらに、低い価格スマートフォンのような機能をチップ内に作り込み、ソフトウエアなどのターンキー・ソリューションを提供することで、開発経験が不足している携帯電話機メーカーでも迅速に製品を出荷できるようにした。中国Spreadtrum Communications社(展訊通信)や米Intel社(英特爾)などのチップ・メーカーも、2012年中には類似のソリューションを発表する予定だ。これは、スマートフォン開発のハードルの引き下げ、および所用期間の短縮につながる。中国携帯電話機メーカーのスマートフォン市場への参入機会が増えるとともに、低価格スマートフォン市場の急成長に結びついている。

 次に、コンテンツ・サービスについて。他の成長中の新興国と違い、中国にはBaidu社(百度)の検索エンジン、Tencent Holdings社(騰訊)のインスタント・メッセージング・サービス「騰訊QQ(Tencent QQ)」、SINA社(新浪)のミニブログ・サービス「新浪微博(Sina Weibo)」、動画共有サービス「優酷網(Youku)」(現在は「優酷土豆(Youku Tudou)」)などがある。いずれも、他の国々で愛用されている「Google」、「MSN Messenger」(現在はWindows Live Messenger)、「Facebook」や「Youtube」などに代わる多様で独特な中国現地のコンテンツ・サービスであり、現地ユーザーから強く支持されている。このようなコンテンツ・サービスはスマートフォンで利用されることが多く、中国現地のコンテンツ・サービス会社と提携できれば、現地の消費者のニーズに応えやすくなる。中国の携帯電話機メーカーは他の世界大手メーカーと比べて、現地のコンテンツ・サービス会社と積極的に提携している。また、同じ文化的背景を持つという優位性から、提携の機会がより増えている。

 例えば、 Tencent Holdings社(騰訊)のインスタント・メッセージング・サービスは、Huawei Technologies社(華為技術)、ZTE社(中興通訊)、中国Beijing Tianyu Communication Equipment社(北京天宇朗通通信設備)、中国Yulong Computer Telecommunication Scientific社(宇龍計算機通信科技)、Hisense Group社(海信)およびChina Telecom(中国電信)という中国の携帯電話機メーカー5社と提携して、「天翼QQスマートフォン」を発売した。これには、Tencent Holdings社(騰訊)のQQサービス・プラットフォームが内蔵されており、平均価格はいずれも1000人民元前後である。