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 「日本は基礎研究で世界に先駆けていても、応用研究で遅れを取ってしまうことが多い。そこを加速させたい」──。

 複数の民間企業と産業技術総合研究所の資金で運営する共同研究体「つくばパワーエレクトロニクスコンステレーションズ」(TPEC)の組織長を務める産総研 先進パワーエレクトロニクス研究センター長の奥村元氏は、2012年4月にTPECを設立した狙いを、このように語っていました(Tech-On!の関連記事)。

 基礎研究によって基礎的な技術を確立した後に行う応用研究では、量産時の品質やコストを想定しながら製品応用の可能性を検証することになります。しかし、実際に製品に適用する際に、どの程度の性能や品質、コストが求められるかは、製品を手掛けている人たちにしか分からないことが多いでしょう。たとえ部品供給側が「最高の技術ができた」と思ったとしても、最終製品のメーカーにとって最高のものであるとは限りませんし、そうしたやり方ではどうしても長い期間を要してしまいます。

 それならば、最終製品を手掛けるメーカー、部品やモジュールのメーカー、製造装置のメーカー、そして基礎技術の研究者といった、研究開発の上流から下流までのすべてのプレーヤーを巻き込んだ垂直連携型の研究体をつくってしまおう──。これがTPECの狙いです。最終製品での要求に基づいて量産時の品質のばらつきや性能、製造コストなどの落としどころを見つけ、それに合わせて量産技術や品質基準、部品の構造などの技術を磨こうとしています。

 いわば「研究開発のフロント・ローディング」です。後工程で発生しそうな問題を前工程で集中的に検討することで、全体の期間短縮を図るという「フロント・ローディング」の考え方が、研究開発でも浸透しつつあるようです。

 そのために始まったのが、企業の壁を越えた仲間づくりです。同業者が集う共同研究ではなく、上流から下流までの垂直連携による共同研究が国内で活発になっています。2012年6月25日号の特集「垂直連携で技術大国再び」では、エレクトロニクス産業における研究開発体制のこうした変化をまとめました。

 今号の表紙にはオセロ(リバーシ)盤の写真を使いました。特集で主張した「ヨコの連携よりもタテの連携を」という思いを表すべく、縦1列の石だけを白にし、その他の場所に置かれた石をすべて黒にしてみました。お恥ずかしいことに、本来のルールでは置けないはずの場所に石が置いてあることに後から気付きました…。大目に見ていただければ幸いです。