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 ここで、ロケーション・フリー・テレビを実現するための技術について少し触れておきたい。ロケーション・フリー・テレビは、自宅に設置して映像をインターネット側に送出するベースステーションと、実際にインターネット網を介して送られてくるテレビの映像コンテンツを受信して表示する端末で構成される。ベースステーションはインターネット網から見ると、サーバーとしての役割を担うものだ。

こうした機能を実現するには、数多くの技術的課題があった。だが、目的がはっきりしていること、そしてエンジニアのモチベーションも高かったことが、課題を乗り越えることにつながったと思う。

技術課題は大きく二つ

 技術的課題の中で、最もハードルが高かったことが二つあった。一つは。これまでのパソコン向けのアプリケーションのほとんどが、下りの回線を使用するものだったのに対し、上りと下りの両方を使うものだったこと。当時、ISP(インターネット接続業者)の多くは、下りのデータ伝送速度を重視し、ユーザーに訴求していたが、上りのデータ転送速度を重視する必要があった。

 もう一つは、世界中に何億台とあるサーバーの中から自宅のサーバーであるベースステーションを見つけることだった。通常、ISPから割り当てられるIPアドレスは、接続のたびに変化するため、端末とIPアドレスが紐付けられないと考えられていた。LFXプロジェクトでは、DDNS(dynamic domain name server)を使って、この問題を解決した。DDNSサーバーを見ることで、接続時のIPアドレスが分かるのである。

 インターネットの接続設定が難しいという課題についても、なるべく簡単に設定できるように、ユーザー・インタフェース(UI)に改良を加えた。結果的には、期待するほど設定は簡単にならず、これについては後々まで改善していくこととなった。当初からいかに簡単に設定できるかを考慮したのも、究極の目的である“取説(取扱説明書)のいらない商品を作る”というエアボード開発時からの考えを踏襲したのだった。

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