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空洞化のウソ——日本企業の「現地化」戦略、松島大輔著、798円(税込)、新書、256ページ、講談社、2012年7月
空洞化のウソ——日本企業の「現地化」戦略、松島大輔著、798円(税込)、新書、256ページ、講談社、2012年7月
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 「空洞化」とは、企業の生産拠点が海外に移転することによって、国内の雇用が減少したり、技術水準が停滞したりすることを指す。
 マスコミの論調を見ていると、円高による輸出産業の不振、原発停止による電気料金の高騰などにより、日本のものづくり産業の空洞化が加速している、との印象を受ける。

 ところが、『空洞化のウソ』という刺激的な題名の本書では、日本企業の海外進出は本当に「空洞化」なのか、という疑問を掲げている。
 空洞化の弊害として、一般的に、雇用の減少、技術水準の低下、所得の減少が挙げられる。しかし、このような懸念は間違いだ、と著者の松島氏は言い切っている。

 たとえば、海外進出と雇用の関係を調査した研究によれば、海外進出した企業は日本国内の雇用も拡大している事実を明らかにしているし、2011年度の『経済財政白書』でも、海外生産比率を増加させる企業の方が、海外生産の比率を維持または減少させる企業よりも雇用の増加率が拡大する、と予想している。
 海外ビジネスを企画立案する新規開発部門の人材が必要になるし、海外ビジネスをサポートするバックオフィス業務が拡大する。また、日本でしか生産できない部品の生産も増える、というのが雇用拡大の理由なのだ。

 同様に、海外展開した日本企業の方が、国内にとどまる日本企業より生産性が高い、という調査結果を松島氏は引用する。規模の経済が働いたり、選択と集中の効果がプラスに寄与したりする、とのこと。

 また、かつて海外進出といえば、日本の親会社が海外の子会社を資金面でサポートするのが当たり前だったが、いまや海外子会社から親会社に「仕送り」してもらう時代だという。