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 こうしたリストラの影響は、多くの人材が中国の地場企業に流れただけではなく、グローバル企業で管理職を務める優秀な人材が、中国の民営ハイテク企業に対して魅力を感じるようになったことである。そうした中国企業の決断の早さや将来性を評価し、日欧米のグローバル企業を辞めるケースが後を絶たない。

 例えば、「小米スマホ」で一躍有名になった中国Xiaomi Tech社(北京小米科技)では、7人の共同創業者の内、CEOの雷軍氏以外の6人が、元々はGoogle China社、Microsoft China社 、Motorola China社などのキーマンだった。彼らは、モバイル・インターネットの将来性を見据えて、それぞれが勤めていた企業を米Apple社のような世界トップクラスの企業に育てたいという夢を持っていた。しかし、勤務先のグローバル企業の限界を知り、現状のままではチャンスを逃しかねないと、創業に踏み出した。2010年4月に、この7人で起業した北京小米科技は、新型のスマートフォンの開発と販売に乗り出し、現在、同社のスマートフォンのブランド「小米」は急成長している。

 中国では、中国国内の外資系グローバル企業の人材に限らず、超一流の人材をグローバルに獲得しようという動きも活発化している。Huawei Technologies社は、スマートフォンの領域でApple社と韓国Samsung Electronics社を追いかけるために、自社の弱点とされるデザインを強化しようと、ドイツからトップレベルのデザイナーをデザイン総監として迎えた。さらに、世界中の優秀なデザイナーを雇い、数百人規模のグローバルなデザインセンターを構築した。

 以前は、政府研究機関、国営企業を辞めて外資系企業へ転職することが多く、社会現象にもなった。しかし、近年は、中国の企業や研究機関において、給与システムや労働環境、人材育成面での改善が進み、かつ、中国企業の商品ブランドのイメージが外資系企業に匹敵するようになってきたことから、外資系企業を辞めて中国の民営企業や国営企業、研究機関へ戻る傾向が強まっている。中国の近年の就職人気企業ランキングを見れば分かるように、人気が高いのは主に中国企業。それでも欧米系の企業は、ランキングの上位にまだ一部存在するが、日系の企業はランキングの上位にはほとんど入っていない。10~20年前、Motorola社やNokia社、HP社などは中国の大学生では知らない人がいないほど、かつ入りたくない人はいないほどの超人気企業だった。それが、ここまで様変わりしているのである。