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 Motorola社がRAND条件で必須特許ライセンスの提案をすることに全く問題はなかった。しかし、両書簡ともに、Motorola社が自らRAND条件とは言うものの、製品販売価格の2.25%のライセンス料を要求していた。これに対してMicrosoft社は2010年11月9日、この米ワシントン州西部地区連邦裁判所に、(1)Motorola社のIEEEおよびITUとの契約不履行の確認、および(2)Motorola社必須特許のRANDライセンス料率の裁判所による決定、を求めてMotorola社を提訴した(もともとの請求は上記2点以外に、Motorola社の権利放棄およびRAND条件を提示したか否かの確認も請求していたが、2011年6月1日の判決でこれら2点は棄却された)。

 Motorola社は翌11月10日に対抗措置として、米ウィスコンシン州西部地区連邦裁判所に2件の訴訟を起こした(事件番号10-cv-699および10-cv-700)。1件目の699事件ではXbox 360を対象に特許6件の侵害を訴え(米国特許番号6,980,596; 7,162,094; 5,319,712; 5,357,571; 6,686,931; 5,311,516)、2件目の700事件では「Windows 7」によるH.264規格必須特許3件の侵害を訴えた(米国特許番号7,310,374; 7,310,375; 7,310,376)。これら3件の特許は、Motorola社が2010年10月29日付けの書簡でライセンス提案したH.264規格関連特許に含まれていたものである。このウィスコンシン州での裁判は2011年2月18日に当のワシントン州西部地区連邦裁判所に移送された後、2011年6月1日にMicrosoft社が提訴した裁判に統合されている。

まずは「料率のガイドラインを決める」と判事

 さて、上述のMicrosoft社のMotorola社による契約不履行の請求について審理が進む中で、判事は2段階でこの問題を審理することとした。それは、まず2012年11月13日に予定されているベンチ・トライアルでMotorola社の必須特許群のRANDライセンス料率およびRANDライセンス料の範囲を決定する。次に、この決定をガイドラインとして、陪審がMicrosoft社のMotorola社による契約違反の請求について評決する、というものであった。そのトライアルは、11月13~21日にわたって行われた。そこでは、多くの時間がMotorola社特許群の関連規格における重要性、ならびにXboxおよびWindows OS製品における重要性についての審理に費やされた。そして、Motorola社特許のRANDライセンス料率およびRANDライセンス料の範囲については、書面による命令を発行するとした。