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 その上で判事は、Microsoft社によるMotorola社必須特許の侵害でMotorola社がMicrosoft社製品の差止めを請求しているのに対し、Microsoft社はこの請求を棄却するように求めている問題について11月29日についに判断を示した。結論から言うと、Motorola社は回復不能な損害を示すことも、金銭賠償だけでは不十分であることも示すことができなかったので、差止めによる救済は不適切とのMicrosoft社の主張に同意して、Motorola社の差止め請求を棄却するように求めていたMicrosoft社の申し立てを認めたのであった。

eBay社の判例を基準に

 米国では2006年以降、特許侵害に対する救済措置として差止めを勝ち取るのが容易ではなくなっている。その契機となったのが、2006年の米eBay社対米MercExchange社事件における最高裁判所の差止め認定の基準についての判決であった。

 ここで、最高裁は、特許侵害に基づく差止め請求を認定するためには、
(1)回復不能な損害がある
(2)金銭賠償だけでは不十分
(3)両社の不利益のバランス
(4)公益が損なわれない
という4つの要件が満たされていることを原告が証明しなければならない、と判示した。一般にこの基準は、eBay testまたはfour-factor testと呼ばれている。