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サプライチェーン軸で見た貿易構造の変化

 ここまでの分析結果を、サプライチェーン軸で整理してみよう。

 図2は「貿易特化係数」の2011年と1988年との差をプロットしたものである。プラスの値は「貿易特化係数」が増加していることを示すので、輸出が輸入に対して相対的に増加したことを意味している。マイナスの場合はその逆である。

図2●業種別貿易特化係数の変化
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 電気・電子産業では、基本的にサプライチェーンの進行方向に従って、「貿易特化係数」は低下傾向が強まりつつあることが分かる。これは労働集約型の組立工程を主体とする完成品メーカーが、低コスト化を求めて、この期間に生産拠点を急激に海外シフトしたことを意味している。これは納得できる傾向だと言えよう。

 従来、日本は加工貿易に力を注いできた。原材料を輸入し、製造・組み立てという付加価値を付けて海外に輸出する、というモデルである。図1で説明したが、1988年時点における「貿易特化係数」は、電算機類(含周辺機器)0.68>原材料製品0.11であり、完成品の値の方が大きかった。しかし、2011年になると、電算機類(含周辺機器)-0.62<原材料製品0.18となって、原材料の方が大きくなる。つまり、現在の「貿易特化係数」の数値は、従来の加工貿易モデルがもはや成立していないことを明示している。ちなみにこれらの数値が逆転した時期は、1999年から2005年ごろである。

 しかし、同じく組立工程を有していても、自動車産業は電気・電子産業とは異なる傾向を示している。特に自動車部品業の場合、確かに「貿易特化係数」は低下傾向であるものの、依然として輸出超過の状態であることに変わりはない。自動車完成品に至っては1988年当時とほぼ変わらない水準だ。自動車部品業を絡めた巧みなコラボレーションと高度な生産技術を背景に、依然として強い国際競争力を維持しているようだ。

 次回は、ここまで述べてきた日本製造業の収益性と貿易構造の変化を理解した上で、生き残りのために強化すべきプロセスについて考察していこう。