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 戦後の豊な日本の構築に大学卒業生が大きく貢献をしてきたこと、そして、米国を含め諸外国が日本の教育システムを高く評価していることは脇に置かれ、産業に貢献する大学へと舵が切られた。私にも大学発ベンチャーを起こせと要請をされたが、技術だけでは会社は運営できないことは承知していたので遠慮させて頂いた。

 最近は入学定員をしっかり守ることが要請されている。定員割れは許されないし、定員を大幅に、たとえば10%を越えることも許されない。子供に苦労させたくないという流れの中で、高校までの教科書は薄くなり、大学入試は指導要領内で行わなければならない。そして、大学は沢山あって少子化の中で存続をかけて鎬を削っている。さらに、留年率にも注目が集まっている。入学させた学生は留年させてはいけない、無事に全員卒業させなくてはならない。至れり尽くせりである。

 教員の負担はともかく、大事に育てられた学生に世間の風は冷たい。既に大学出はエリートへの切符ではない。会社は教育機関ではない。至れり尽くせりは大学まで。大学を出たことではなく、大学で何を身に付けたかを会社は選考過程で問う。

 さて、ここまでは前振り。ここからが21世紀考である。それでは、大学の21世紀モデルは何かである。未来予測には過去の振り返りと現状認識が不可欠である。振り返りは行った。次は現状認識である。まず、今の学生さんは軟弱である。21世紀に重要な数学力も物理力も無い。その上、世代や場面に呼応したコミュニケーション力も無い。さらに、親の愛情に目一杯浸って、上昇力に欠ける。そして、贅沢な日本に安住し、海外志向も無い。