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 通信の手順をプロトコルといいます。プロトコルが異なると機器を通信でつなげようとしてもスムーズにデータや情報を交換できません。例えば、片方が英語で、もう片方が日本語で話をしているようなもので、間に翻訳マシンがないと意思の疎通はできません。

 ですから、1つのプロトコルで全ての産業用オートメーションに使用できる通信方式が登場して、また、マーケットのユーザーやベンダーがそのプロトコルに賛同してそのプロトコルに対応する機器を作ったり、使ったりしてもらえれば、通信を使うメリットがより実感できるため、普及が進むと考えたわけです。

 そのための活動は、IEC(International Electrotechnical Commission)のTC(Technical Committee)65C委員会にて、1980年代半ばから始まりました。この活動の成果は、約15年後の1999年にIEC61158としてまとまりましたが、残念ながら「統一された1つの産業用ネットワークのプロトコルを規定する」ことはできませんでした。

 理由はいろいろ考えられます。中でも主な要因とみなされているのが以下の2つです。

(1)産業用ネットワークのアプリケーションは多岐にわたります。通信の更新速度を求めるアプリケーションもあれば、通信できるデータの量が多いことが大切なアプリケーションもあります。また、使用する場所によっては厳しい環境条件に対応しなければならないところもあれば、オフィスと同等の環境条件に対応できれば十分なところもあります。どのようなアプリケーションで使うかによって、プロトコルに求められる条件が異なり、全ての条件を満たすプロトコルはなかなか作成できませんでした。

(2)IECの会合にて議論を重ねている間にも、マーケットの技術は進化してきました。そのため、多くの制御ベンダーは、統一されたプロトコルが決定する前に自社の独自プロトコルで動くネットワークの販売を開始しました。ベンダーは自分のベースとなる地域(欧州、北米、アジアなど)を持ちますので、地域によって、普及しているプロトコルが異なってきました。つまり、IECで統一バスの議論が進んでいるときに、マーケットでは多様なプロトコルを持つ、各種ネットワークがどんどん出てきて、現場で使用されるといった状態になりました。