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 皆さん、初めまして。日経BP半導体リサーチ(SCR)の連載『清水洋治の半導体産業俯瞰』をこれから1年間にわたり担当させて頂く、清水洋治です。筆者はこれまで半導体開発をメインに、販売やマーケティングなど各種の業務に半導体メーカーで携わってきました。その詳細は連載の中で追ってお話しします。さて、日本の半導体産業は今、未曾有の大転換期にあります。海外では過去10年間に、新たな市場プレーヤーが続々と増えています。これから1年間、市場理解と現状把握に努めながら、半導体産業に関わるさまざまなトピックスを取り上げていきたいと思います。

表1:過去6年間における、Qualcomm社およびMediaTek社の携帯電話機向け主力アプリケーション・プロセサの製造プロセスの推移
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 まず初めに、表1を見てください。ここに示したのは、過去6年間における、米Qualcomm社および台湾MediaTek社のの携帯電話機(フィーチャーフォンおよびスマートフォン)向け主力アプリケーション・プロセサの製造プロセスの推移です。近年その限界がささやかれて久しいのですが、我々の業界では米Intel社の創業者の一人であるGordon Moore氏が提起し、その後の半導体産業を牽引した「Mooreの法則」がほぼ40年間にわたって適用されてきました。Mooreの法則は、半導体集積回路の集積度が2年で2倍になるというものです。

 この法則は、2000年代半ばまでは実質的に「日米欧」にのみ当てはまるものでした。今ではそんなことを言う人はほとんどいませんが、かつてのアジア製品は「安かろう悪かろう」のレッテルが貼られており、数回使えば壊れてしまうような製品も実際に少なくありませんでした。

 表1に示した6年前の状況を振り返ると、Qualcomm社の主力アプリケーション・プロセサは90nmプロセスを用いて製造されており、CPUコアにはARM11、ベースバンド機能としてはWCDMA/CDMA(3G)通信を搭載していました(図1)。対して、同じ時期のMediaTek社のアプリケーション・プロセサは180nmプロセスを用いたもので、GSM(2G)通信と、ARM7コア・ベースのCPUを用いた簡易なアプリケーション機能を搭載した程度のものでした。機能的には2000年ごろの日本製端末に相当し、2007年当時の日米欧の製品とはまだまだ大きな開きがあったので、脅威としては認識されていなかったと記憶しています。

図1:2007~2008年のQualcomm社とMediaTek社のアプリケーション・プロセサ
図1:2007~2008年のQualcomm社とMediaTek社のアプリケーション・プロセサ