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 『日経ものづくり』2013年4月号の特集1「日本の装置はなぜ強いのか」では、世界で高いシェアを誇る装置メーカーの強さに迫りました。昨今、日本の製造業を取り巻く環境は厳しくなっていますが、そうした中で「装置」分野では業績を伸ばしている企業が少なくありません。そこで、強い装置メーカーの秘密を探ることによって、日本の製造業全体に有用なヒントが得られるのではないかと考えました。

 日本の企業が強い分野は、装置の他にも「精密機器」や「材料」など多々ありますが、今回の特集で装置に着目した理由は主に2つあります。1つは、日本でもすっかりおなじみとなった世界最大のEMS企業である台湾Hon Hai Precision Industry社(通称Foxconn)の存在です。Foxconnが自社の特徴として訴求している内容に「顧客は欧米の一流企業、経営は台湾、生産拠点は中国、装置は日本製」というものがあります。日本の電機メーカーが不振に陥るのと並行してFoxconnは台頭してきましたが、そのFoxconnが躍進する上で日本製の装置を活用してきたという事実は、個人的に非常に興味深いものでした。

エスペックの恒温恒湿器「プラチナスJ」シリーズ
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 もう1つの理由はもっと単純で、強い装置はシェアが高いので、取材先で目にすることが多かったということがあります。例えば、今回の特集で登場するエスペックは恒温恒湿器などの環境試験器を手掛けるメーカーですが、この分野における同社のシェアは国内で約60%、海外で約30%です。そのため、筆者はさまざまな企業の工場を取材するたびに、エスペックの環境試験器を目撃していました。これほどのシェアになると、ユーザー企業にとってはエスペックの製品を利用することが当然になっているのではないかと思いますが、この「使って当たり前」という境地に達するまでの強さに関心がありました。

 エスペックを含む計6社に取材し、強い装置メーカーの秘密として我々が出した結論は、特集1のサブタイトルでもある「信頼を得る鉄壁のサイクル」です。強い装置メーカーは、顧客から「まずあのメーカーに相談しよう」と思われるほどの圧倒的な信頼を得ています。そのような信頼を獲得し、強固なものにする仕組みが、鉄壁のサイクルです。その中身はぜひ記事でご確認いただきたいのですが、サイクル自体には拍子抜けするほど凡庸な文言が書かれています。しかし、実は凡庸に思える取り組みを続けることが最も難しく、その継続性こそが強さの源泉になっていると取材を通じて実感しました。