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 東京電力福島第一原子力発電所の事故によって、原発の安全性は決して盤石ではなかったこと、思っていた以上にもろかったことが明らかになりました。そして、電源系や冷却系を攻撃すれば、人為的に危険な状態を生じさせられるであろうことも。そのため、原子力規制委員会は新安全基準案でテロ対策に触れています。そこで、2013年4月号の第3特集では、3月号の新安全基準案の解説に引き続いて、物理学者の桜井淳氏に原発のテロ対策について寄稿いただきました(4月号関連URL)。

 本特集の編集を担当する中で調べてみて驚いたのが、大規模とまではいかなくても、世界では第三者による原発や原子力施設への攻撃が断続的に発生しているということです。設備に被害があったのは、同特集でも触れているフランスの高速増殖炉「スーパーフェニックス」へのロケット弾攻撃くらいですが、過去には不法に侵入したり、爆発物や火器を持ち込んだりといった攻撃が起こっています(東京海上日動リスクコンサルティングの資料)。あってほしくないことですが、日本でも原発テロが起きる可能性は否定できないのです。

 本特集で桜井氏は、[1]人為的スクラム、[2]冷却系への攻撃、[3]人為的メルトダウン、[4]大型航空機やミサイル攻撃、の4つの可能性について指摘しています。どれも、びっくりするほど意外なものでもなければ、荒唐無稽な話でもありません。悪意ある第三者がその気になれば実行し得る攻撃です。例えば、[2]で指摘している海岸近くの冷却ポンプへの攻撃などは、決して難易度の高いものではないでしょう。言われてみれば至極単純ですが、そんな手があったのかと少々ぞっとする思いがしました。

 ただ、福島第一原発の事故がなければ、原発テロに耳目が集まることもなく、専門家が指摘するこうしたリスクにも気付かなかったかもしれません。結局、意識しなければ何も見えてこない。この原稿を読んであらためてその危うさに気付いた次第です。

* なお、同特集の1p目の写真は、2010年11月に北陸電力志賀原発で行われた原発テロ制圧訓練の様子です。