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(図)山田氏(右)と向き合うセゾンファクトリーの出荷準備担当者
(図)山田氏(右)と向き合うセゾンファクトリーの出荷準備担当者
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 「やめい、やめ~い。みんな、生産を止めてくれや!」

 ムダとりコンサルタントの山田日登志氏は、高級食品メーカーであるセゾンファクトリー(本社山形県高畠町)の出荷準備工程に足を踏み入れるや否や、こう叫んだといいます。あまりの剣幕に呆然とする現場。

 山田氏は、キヤノンやソニーの工場にセル生産方式を導入したことで知られるコンサルタントで、筋金入りの現場主義者です。指導先の工場に着くやすぐさま作業着を着て現場へ向かい、その場でバッタバッタとムダを切り落としていきます。

 「ええか? これからは、今日、出荷する物だけしか生産したらあかん。今日、出荷する物でも、在庫があるなら造らんでええ。在庫は多すぎると、悪いことはあっても良いこともは1つもありません。みんな、やってくれるか?」

 山田氏は、いつもこうして現場の人たちに直接話しかけてムダとりのノウハウを伝授していきます(図)。現場のことを一番よく知っているのは現場。だから、現場の管理も現場の人たちで必ずやれる。言っている内容は厳しくても、山田氏の言葉の奥には、そんな現場への厚い信頼が込められています。

 だからでしょうか。山田氏が話しかけると、現場のおばちゃん(とここではあえて言わせていただきます)たちは次第に山田氏に心を開いていきます。2回、3回と指導を重ねていくと・・・山田氏はもうおばちゃんたちのアイドルに。「もっと叱って!」とばかりに山田氏の元に集まってくるようになるのです。

 山田氏の指導現場を取材させていただくたびに思うのは、人は「言葉の奥底にある真意」を不思議と汲み取るものだということです。文字にしてしまえば、ただ山田氏が現場を叱咤しているようにしか見えないかもしれません。でも、実際には、現場は「この先生は本気で私たちのことを考えてくれているんだ」と感じています。

 本気で相手のことを考えて叱れば、その真意は必ず相手に伝わります(逆に言えば、そうでない場合も相手に伝わってしまいます)。その「本気」が相手を変え、職場を変え、ひいては会社を変えていくのです。あなたは山田氏に叱られたいですか? ちなみに私は、狙ったわけではないのに本気で叱られたことがあります(苦笑)。

 なお、冒頭に登場したセゾンファクトリーのカイゼン結果は、日経ものづくり2013年4月号の「山田日登志のこれがムダなんや」で取り上げています。ぜひお目通しください。