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1989年に日本市場で新生児向け人工呼吸器を発売

 メトランは、日本市場向けの人工呼吸器「ハミングⅡ」を1989年4月から販売し始めた。この人工呼吸器「ハミングⅡ」の販売にこぎ着けるには、医療機器規制の法規である薬事法の申請や、医療機器製造販売業認可の申請、販路の確保などと、さまざまなハードルを乗り越えなければならなかった。この当時のメトランは役員・社員がまだ数人の小さな会社だっただけに、その対応は大変だったが、フック氏は持ち前の明るさで切り抜けた。

 その後も、新生児向けの人工呼吸器の改良を続け、例えば「ハミングⅤ」を1993年11月に国内で販売し始めた。さらに、その後継機のハミングシリーズを出し、「ハミングⅩ」を2008年1月から販売した。

 この間に、ハミングシリーズのHFO方式の心臓部であるピストンの静粛化を図り、かつモジュール化のためのユニット化も実施した。新生児の呼吸状態を見守るために、表示モニタにタッチパネル方式を採用し、操作性を高めた。また、患者の口元に流量センサを用い、新生児患者の肺の状態を観察するようにしている。さらに、内部に電池を設け、停電が万一起こっても、すぐに電源が切り替わり、連続使用できる工夫を施している。全て、病院の医師や関係者から聞き集めた現場ニーズに対応する開発・改良である。

 人工呼吸器事業を順調に育てていたメトランだったが、医療機器での自主回収(リコール)問題を起こしてしまう。2008年1月から販売した「ハミングⅩ」に採用した電子部品の一部が過熱する可能性が生じ、その対策を施す自主回収を2008年7月に発表した。

 ある電子部品の選定ミスが原因だった。メトランは、「ハミングⅩ」が医療機械であるため、認可された仕様を勝手に変更することができないことから、電子部品の過熱対策として放熱板を加えたが、その一方でソフトウエアも変更した。仕様を変更せずに済む範囲で改良を施したのだ。その方がその後の製品販売に有利に働くとの経営判断だった。

 2008年3月から出荷した「ハミングⅩ」86台全数を対象に自主回収を実施した結果、この年の事業収支は赤字になった。大きな“授業料”を支払うことで、医療機器事業の難しさを学んだ。