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 今回の華麗なる技術者は、「発明家」である。

 といっても並みの発明家ではない。自分の研究成果を基に創薬ベンチャーを立ち上げ、米国市場に乗り込み、ナスダック上場を果たした人物だ。

 上野隆司氏。米Sucampo Pharmaceuticals社の会長兼CEO(最高経営責任者)で、CSO(最高科学責任者)でもある。

上野隆司氏。Sucampo Pharmaceuticals社 会長兼CEO。
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 2013年3月に自身のイノベーションの軌跡を綴った自著『世界で3000億円を売り上げた日本人発明家のイノベーション戦略』(朝日新聞出版)を出版した。慶應義塾大学医学部を卒業した医学博士、薬学博士という研究者の立場で、緑内障治療用の点眼薬「レスキュラ」と慢性便秘症治療薬「アミティーザ」の二つの新薬を開発した。今でも、第一線の研究者として新薬の研究開発を続けている。

 1989年に日本でバイオベンチャーの先駆けであるアールテック・ウエノを創業し、後にジャスダック市場に上場。米国で設立したSucampo社も2007年に株式公開した。一代で大きな成功を成し遂げた事業家として、その財を社会還元する顔も持つ。S&R Foundationという財団を立ち上げ、多くの若い研究者や芸術家を支援。米国生理学会に上野隆司賞を設けて研究を奨励する活動も手掛けている。

 米国の首都ワシントンD.C.郊外に豪華な自宅を構え、アメリカン・ドリームを体現した数少ない日本人の一人だ。

何でもやりだしたら徹底して追求し、大きな成功に導く

 上野氏は、関西では良く知られた実業家の家庭で生まれた。祖父の上野政次郎氏が1918年に上野商店(現・上野製薬)を創業。父の隆三氏が事業を引き継ぎ、隆司氏はその御曹司にあたる。祖父、父とも研究熱心な発明家として化学薬品メーカーである上野製薬の事業を拡大した。

 上野家は、コンサートを主催したり、音楽家を支援したりする音楽一家でもある。母の俊子氏は在大阪オーストリア共和国名誉総領事を務めている。家にバイオリンの名器「ストラディバリウス」がいくつもあったという。まさに「華麗なる一族」である。

愛車と一緒に。(写真提供:上野隆司氏)
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 上野(隆司)氏は芸術家などの支援に力を入れる一方、子供のころからの趣味である自動車を本格的にコレクションしている。何十年も前のポルシェやフェラーリのクラシックカーを50台ほど所有し、週末にはチームのメンバーと10台以上を連ね、レース場で乗り回すのが楽しみのようである。

 何でもやりだしたら徹底して追求し、大きな成功に導く。そんな上野氏のことは、これまでも多くのメディアが紹介している。

 実は、私と上野氏には接点がある。神戸市にある私立灘高校の同級生だった。それから、四十数年。2人とも還暦を迎える年代になった。