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大学の図書館で延々と調査

北野 教養学部なので英米史や哲学の講義も、一応受けるんですね。それを専門に学ぼうという学生と一緒の講義でした。そうした環境で過ごせたのは、大きい体験だったと思います。

加藤 日本の研究が欧米と違う点の一つは、自分の世界だけにあまりにも入り過ぎて異分野との交流をしようとしないことにあると思うんです。社会科学と自然科学もそうだし、それぞれの中でも分野が違うとあまり交わりがない。交流が進むと異なる視点を得られて、研究の幅も広がると思うんですが。ICUでは、勉学の他に何かやっていたんですか。

北野 ずっと、ディベートをやっていました。

加藤氏。
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加藤 ディベート? オーディオ機器を作るのではなく?

北野 ICUの講義は課題がたくさん出るので、それどころではありませんでしたし、学校の場所が秋葉原から遠くなったので。講義を受けるか、ディベートの準備をするかという生活でした。

加藤 ディベートって、何をするんですか。

北野 英語で政策論を闘わせるディベートです。大学対抗で全国大会がありまして、環境政策や食糧政策、海外援助などのトピックで試合をするんです。

加藤 英語は、どこで勉強したんですか。英語の環境で生活した経験があったのですか。

北野 学校の授業だけです。政策論を闘わせるので、とにかく徹底的に調査しないとダメなんですよ。年に2シーズンあったんですが、各シーズンで英語と日本語の資料を200冊くらい読みました。ほかにも論文を読むので、大学の図書館で延々と調査する。

 だから、まずは調査能力と政策立案能力。英語はその次です。英語で全部議論しますから英語ができることは前提なのですが、それができても調査と政策立案ができなければ、全く話にならない。試合の時には、チームのメンバーがスーツケースを二つずつ持っていきます。中身はすべて資料です。今なら、パソコンやタブレット端末なんでしょうけど。

加藤 へぇ! すごいですね。勝ち負けはどう決まるんですか。

北野 ジャッジが判断します。予選では一人のジャッジ、準々決勝くらいになると3~5人のジャッジが投票で勝敗を決めます。1チーム2人なので、人数が多い大学はまず学内で予選があって、それを勝ち抜いたチームが大会に出てきます。

 昔ほど盛んではないけれど、今もありますよ。当時はなかなか海外には行けなかったですし、英語で何かすることがとても重要だとみんな思っていた。そういう時代でした。最近は、すぐに海外に行けちゃいますからね。