技術軽視でも技術偏重でもない“技術重視”
技術的なハードルが存在するマス市場を狙うためには、相応の技術力を持っていることも1つの条件になる。実際、Huawei Technologies社の成功の裏には、そうした技術力の存在があった。重要なのは、技術軽視ではなく、かつ技術に偏重しすぎない程度に技術力を磨くことだ。
Huawei Technologies社が創立されたのは1980年代である。その当時、同社は、深センに100社以上あった通信設備関連企業の1つにすぎなかった。同社を創業した任正非総裁は、「技術力なくして他社との差別化はできないし、将来的にも生き残れない」と強い危機感を持っていたという。そもそもは通信設備の代理販売としてスタートした同社だったが、任総裁は思い切って通信設備の代理販売で得た利益を電子交換機の開発に投入した。そして、1993年、当時としてはハイレベルの電子交換機「C&C08」の開発についに成功、通信設備市場への参入切符を手にした。
一方、代理販売の短期的な利益に甘んじてきた多くの通信関連会社は、Huawei Technologies社とは対照的に、数年後にはほとんど姿を消してしまった。C&C08の開発がなかったら、現在の同社は存在しなかったと言っても過言ではない。それからのHuawei Technologies社は、市場と技術を両輪に、世界の通信設備市場を席巻している。