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 Bluetooth+HSはBluetooth 3.0で新たに追加された「超高速モード」です。今回はこの+HSについての話を幾つかご紹介したいと思います。

Bluetooth+HSとは

 Bluetooth 3.0の規格制定が始まったのは2005年頃だったと記憶しています。論点の一つは高速化でした。Bluetooth 2.0で高速モードEDR(3Mビット/秒)が導入されましたが、「従来の3倍!」と言ってみても、所詮IEEE802.11b(11Mビット/秒)の1/3以下であり、しかも当時IEEE802.11g(54Mビット/秒)が普及期を迎え、いわゆる「draft 11n」の100Mビット/秒対応製品まで出荷されつつありました。

 Bluetoothが高速化を目指した理由はWi-Fi陣営の性能向上に対する危機感だけでなく、当時躍進著しかった携帯音楽プレーヤーへの適応を目論んだ節がうかがわれます。携帯音楽プレーヤーの記憶容量はGバイトの単位に達しつつあり、動画再生を可能とした機種も出現しつつありました。桁違いの情報量を扱う新世代の携帯情報機器に対応するにはBDRの1Mビット/秒はもちろん、EDRの3Mビット/秒でも全然不足で、桁違いの高速化が必要だと考えられたようです。

 この課題に対してBluetooth SIG内部でどんな議論が展開されたのか詳しく知りませんが、独自の高速無線技術を新たに開発するのではなく既存の(他規格の)高速無線技術を流用し、その上にBluetoothのスタックを「乗っける」かたちで高速化することを決定しました。それが+HS(High Speed)仕様です。

 なお前回も説明しましたが「Bluetooth 3.0」と「+HS」は同じものではなく、3.0仕様でも+HSを持っていない製品もありますし、Bluetooth 4.0に+HSを実装することも可能だということを理解しておいてください。世間的には「Bluetooth 3.0=+HS」「Bluetooth 4.0=LE」として扱われている場合も少なくありませんが、用語の定義は別なのです(実に分かりにくいと私も思います)。