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 さて、このように技術開発としても事業としても良いことばかりに見えるフラッシュメモリですが、一つだけ残念なことがあります。Solid-State Circuits Magazineには「NAND Flash Innovations(リンク先)」という記事があり、フラッシュメモリが発明されてから現在に至るまでの技術を俯瞰しています。その最初のページには、Some of the Contributors to NAND Flash Memoryと、初期のフラッシュメモリの研究開発に携わった技術者たちが掲載されています。

 11名のかつての東芝の技術者の現在の肩書は、東芝が4名、外資系企業が5名、大学が2名です。もちろん、もっと多くの方が技術開発に貢献しており、ここに記載されている方は、初期の研究開発に携わった人のごく一部にすぎません。

 しかし、フラッシュメモリが海のものとも、山のものともわからない時に、現在のフラッシュメモリの基礎となる技術を立ち上げたキーパーソンの少なからずが、東芝を退職し、海外のライバルメーカーに引き抜かれていったのは、業界内では有名な話です。

 転職するのは個々人の事情があるでしょうし、他人がどうこう言えることではありません。東芝からエンジニアが引き抜かれていく渦中に私も居ましたので、悔しいし、裏切られたような思い、やり切れなさを感じました。

 ただ、こうした引き抜きや中途での採用は、これからの日本では当たり前のことになるでしょう。技術の急速な変化と厳しいグローバル競争で、一つの事業が何十年もの長きにわたって競争力を持つことが段々難しくなっている。東芝のフラッシュメモリ事業も現在は好調ですが、10年後、20年後はどうなっているかは、誰もわからない。