
久保田博南の「医療機器トレンド・ウオッチ」
目次
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進む! 介護・医療・健康のM2M
現行と新規の通信利用事例から
前回のコラムで、「M2Mサービス等専用の電気通信番号」となる「020」の創設について述べた。今回は、このM2Mが医療機器などに与える影響や、現在利用されている関連システムについての動向を紹介する。
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M2Mが動き出した
医療機器、電波利用から電話利用へ
医療機器に利用できる無線周波数帯については、何度となくこのコラムで取り上げてきた。2017年1月4日、総務省から「M2Mサービス等専用の電気通信番号」として「020」の電話番号帯が割り振られることが発表された。ものとものをつなぐM2M(エム・ツー・エム)、つまり機器同士が電話番号をもつ時代に移行し、…
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ただいま試行錯誤中、ソフトウエア規制の2年
2014年11月25日に施行された「医薬品医療機器等法(薬機法)」によって、「使用目的、効能又は効果等を有するソフトウエア」も医療機器の規制対象となった。しかしながら、その対象は第三者認証機関による認証とPMDAによる承認によるものであり、クラスⅡ以上の医療機器プログラムに限られる。クラスⅠ程度のプ…
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大学発医療機器開発、製品化の壁と対応策
昨今、大学での基礎研究を元に、医学部・工学部などによる「医工連携」をテーマとしたシンポジウムなどが盛んに開催されている。大学発の基礎研究が実際の製品化に至るまでにはどのような課題があるのか、このたび開催された「第14回千葉大学医工学シンポジウム」での事例から、医療機器への「製品化の壁」とその対応策…
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‟未病機器×IoT”、新たな体制構築を
医療機器から‟未病機器”産業へ――。神奈川県が進める「ヘルスケア・ニューフロンティア構想」の中心テーマの一つだ。そして、時代の先端を行く「IoT(Internet of Things)」。ともに、最近ではお馴染みのキーワードである。これらの大きな流れは、国内の医療機器メーカーの志向性にも波及し始めて…
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ロボット・AIと医療機器の将来を占う
医療機器にロボット技術が投入され始めてから、すでにかなりの年月が費やされた。「da Vinci(ダヴィンチ)」に代表されるこれまでの手術支援ロボットなどを踏まえ、将来、ロボット技術やAI(人工知能)が医療とどうかかわっていくのか――。その動向について、日本医療機器学会の機関紙「医療機器学」の最新刊…
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新設の医療機器審査管理課に期待する
2016年6月21日、厚生労働省内に医療機器や再生医療機器などの審査管理を担当する「医療機器審査管理課」が設置された。これまでの医療機器の位置付けとして「医薬品の傘下」というイメージから脱却できなかったが、医療機器専門の審査管理業務も医薬品と並列になることで、今後の政策の活発化が期待される。
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医療機器開発に関する近刊書籍が示唆する共通項
このところ、医療機器に関わる書籍が相次いで刊行されている。これらを医療機器開発という一つの断面から読み解くと、「日本独自の」という枕詞が共通項として見えてくる。同時に、「若い開発者や医療従事者、さらには起業家に読んでほしい」という著者・編者・訳者の共通の意思が垣間見える。以降では、これらの共通項に…
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“医療機器一斉点検”はありえない
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対岸の火事ではない「医薬品一斉点検」
厚生労働省が2016年6月1日に発表した「医薬品の製造販売承認書と製造実態に関する一斉点検の結果」。これは、医療機器業界にとっても無縁とは思えない。
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病気と健康の境界を探る
『ヘルスケアを支えるバイオ計測』に見る最新動向
体調不良から病気に進行すると、その症状や医療機器などによる検査結果に基づいて担当医師から“病名”が与えられる。病気の発症以前と健康の間には、正常値からやや外れた不安定な状態が存在する。そうしたボーダーラインをターゲットとした生体計測技術は最近の注目テーマの一つだ。
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医療機器、空を飛ぶ
LCC(Low Cost Carrier)をはじめとする格安航空券などの普及により、誰もが気軽に海外旅行に行ける時代になった。今回、当社社員の海外出張に当たり、羽田を深夜に出発する国際線内で、血中酸素飽和度の測定を行わせてみた。測定には、日本精密測器製の携帯型パルスオキシメータを用いた。
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ワイヤレス医療機器、今こそ「400MHzの縛り」から解放の時
最新の電波利用動向の実情
前回のコラムでは、時代の趨勢にそってワイヤレス医療機器の法規制が緩和されつつあることを述べた。今回は、米国に見る最新の状況について紹介し、我が国での具体的な電波利用の実情について比較考察したい。
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ワイヤレス医療機器、事実上の自由化へ
一般環境におけるワイヤレス通信技術の発展はとどまるところを知らない。携帯電話事業者各社は通信速度を競い、ユーザーの確保にしのぎを削っている。Wi-FiやBluetoothに代表される無線通信も身近になった。そんな中、当然のことながら医療機器とワイヤレス技術の融合にも多大な変化が見られる。
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心臓の血液量を体表から測定
生体情報モニタ分野に注目の製品
心臓からの血液量をいかに簡単に、しかも非侵襲で測定するかというテーマは、医療機器業界での長年の懸案事項として研究されてきた。ところが、ここにきて実用的かつ有用な製品として市販化されたものが登場した。米Cheetah Medical社が開発した「Starling SV」である。業界の初期の目的に対し…
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パルスオキシメータの2015年
発明者・青柳博士と振り返る
2015年の暮れ、パルスオキシメータの発明者である青柳卓雄博士(現在、日本光電工業 生体モニタ事業本部 バイタルセンサ部 青柳研究室 室長)に取材する機会があった。取材とは少し大げさな表現だが、同窓会と忘年会を兼ねたものと言ったほうが適当かもしれない。
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医学部を持たない大学の「医工連携」
東京・調布市にある電気通信大学(福田喬学長)は、2015年11月26日、「ライフサポート分野における医療機器開発の実践」と題するシンポジウムを開催した。理工科系の大学でありながら、医療・福祉の発展を目指して設立した「脳科学ライフサポート研究センター(BLSC、Brain Science Inspi…
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衝撃的な翻訳本『バイオデザイン』
優れた医療機器は単純なひらめきからは生まれない
2015年10月10日、我が国の医療機器業界にとって、衝撃的かつ刺激的な書籍『バイオデザイン』(薬事日報社)が刊行された。革新的な医療機器がどうして米国主導となっているのか、という日常的な疑問にも、もしかして一つの回答が得られるのではとの予感がする。
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パルスオキシメータの国際シンポへの誘い
今後の方向性を探る貴重な機会に
来月初め(2015年10月2~4日)、パルスオキシメータ・生体情報モニタ関連の国際シンポ「第4回“I am Pov”(Innovations and Applications of Monitoring Perfusion and Ventilation) 国際シンポジウム」が聖路加国際大学におい…
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医療機器の審査に「優先性」の考え方を求む
先月末(2015年8月21日)、厚生労働省から海外で実績のある製品などに関しての早期導入支援策が発表になった。これまで業界団体などから強い要望として提案されていた事項だけに、本件に関しての“優先的”な進展を望みたい。