
久保田博南の「医療機器トレンド・ウオッチ」
目次
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微小血栓の検出へ、あくなき挑戦が続く
脳血栓症などの重篤な疾病を招く因子として知られる血栓。この血栓を早い段階で検知する方法論には、長年の研究が続いている。にもかかわらず、理想的な検査機器の製品化は遅れているのが現状だ。本稿では、血栓を早期検知する実用化機器の開発事例から、その最新事情について報告しておきたい。
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医療機器の国際整合性を問う
期待と不安を抱えたままでスタートした薬機法(医薬品医療機器等法)発効から8カ月あまりが経過した。大幅な規制緩和を期待した産業側からの視点でいうなら、それが現実問題として実感できていないというのが大方の見方だ。本稿では、一つの切り口として、医療機器規制の国際整合の面からの実情について記述しておきたい…
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『新医療立国論』の訴えに耳を
『新医療立国論』(大村昭人編著、薬事日報社)は同系のシリーズ本としては4冊目であり、2015年5月末に発刊された。これらのシリーズ全般に流れる基本的論理を継承しつつ、ごく最近の医療機器環境の動向などの記述には、いくつかの注目点が存在する。
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「日本のものづくりが医療機器に反映されていない」は本当か?
大枠でとらえるなら医療の現場で使用される医療機器と呼ぶべきだが、規制面からみれば非医療機器――。今回紹介する製品も、この範疇に属する。患者の治療や診断にも無関係という理由からである。
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日本発の手術支援ロボット、デビュー
ペットネームが“iArmS”で、その名は“I a(r)m s(upporter)”にかけてあると聞いて、一瞬うなった。最先端医療機器のイメージを保ちつつ、その機能を忠実に表現している。2015年4月にデンソーから発売された手術支援ロボットの登場は、医療機器業界だけではなく、衆目の興味を引き出すのに…
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睡眠評価は脳波だけで何とかなるか?
前回のコラム、「脳波1チャネル」で“眠り”に挑戦したベンチャーについて、今後の見通しなどを追記しておきたい。
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「脳波1チャネル」で“眠り”に挑戦したベンチャー
ヘルスケア事業への参入に際し、どこが狙い目なのかは、産業界にとっての最重点テーマといっていい。今回紹介する企業は、新規参入という位置づけにありながら、一見すると意外なパラメータに目をつけて睡眠管理を実現しよう、というユニークな課題に取り組んでいる。
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話題の「光トポグラフィー」にベンチャー企業が参入
うつ病の診断補助などに利用されている「光トポグラフィー」。近赤外線を大脳皮質に照射して酸化ヘモグロビンによる吸光度を指標とした測定方法である。近年、この分野での需要の増加というバックグランドがベースとなり、新しい機器開発・商品化が進行している。
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帰納法で導かれた医療機器産業参入への「回答」
2014年12月末に刊行された『無理なく円滑な医療機器産業への参入のかたち』(柏野聡彦著、じほう)には、医療機器産業参入を果たした企業、あるいはこれから参入を目指す企業に関して、数多くの事例が紹介されている。著者とその協力者たちが見いだした幾つかの法則が示唆されており、これから参入を目指す企業に対…
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モバイルデバイスの医療応用への利用価値
健康機器群・介護用機器群なども包含した広義の医療機器群は、今、本流とは別の大きな横風を受け、その渦に巻き込まれようとしている。望むと望まざるとにかかわらず、避けては進めない選択が迫られている。医療機器業界にとっても、かつて経験したことのない新しい方向へのかじ取りが重要な時期に直面しているのだ。
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健康機器群は誰が規制するのか
前回のコラムでは、ヘルスソフトウエアの動向についてコメントした。このコラムに関しては、関係者から少なからぬ謝辞をいただき、うれしく感じている。今回は、その延長として、健康機器そのものの規制の在り方や業界への要望などについて書いておきたい。
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「ヘルスソフトウエア開発ガイドライン」が教えるもの
このところ、医療機器関連のソフトウエアに関わる議論が熱を帯びてきた。一つは、2014年11月25日施行の改正薬事法から我が国では初めてのソフトウエア規制がスタートすること、もう一方で医療機器を含めたヘルスソフトウエアの開発ガイドラインが示されたことが背景にある。本稿では、規制と開発といういわば相反…
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パルスオキシメータ開発の貢献者をたどり、「医工連携」の原点を見た
パルスオキシメータ開発の歴史を概観していたら、本年(2014年)は発明からちょうど40年になることを知って、感慨深い思いになった。パルスオキシメータは、理論としての面白さや特異性は言うに及ばず、その開発過程に見る医療機器産業としての興味ある実例にも挙げられるからだ。このパルスオキシメータについて、…
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パルスオキシメータ開発に見る日米主導権争い
近年の医療機器産業の中で比較的新しく開発された商品に、パルスオキシメータがある。アイデアは日本で創始されながら、産業としての見地からは米国に押され気味の製品の具体例だ。今回は、その開発過程からなぜそうなっているのかについてコメントし、将来に向けての展望を占ってみたい。
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実践型医療機器開発へのススメ
我が国の医療機器産業を加速させるにはどうしたらよいのか。業界人なら誰もが考えているだろうが、意外な落とし穴に気付いていない。前回のコラムで提示した米国企業との比較を引き合いに出しながら、この難題解決に一石を投じてみたい。
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日本発・医療機器開発促進のために(3)
日本市場をよく研究している米国企業
医療機器の世界において、「なぜ米国企業に太刀打ちできないのか」という議論がなされて久しい。長い間、日本市場を見てきたものとして、一つのショッキングなデータを示して、何らかの活路を見出すきっかけにしたい。
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日本発・医療機器開発促進のために(2)
立ち位置と重点課題の再確認を
我が国の医療機器産業の実態はどうなっているか――。「欧米に遅れ劣った」というなら、どこに解決点を見いだすべきなのか。大きな課題はどこにあるのか。また、その対応策をどう打ち出すか、などについて考えてみることにしよう。
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日本発・医療機器開発促進のために(1)
オリジナリティーにこだわるべからず
今、我が国における医療機器産業についていうなら、「追い風」という表現が至るところで使われている。とはいえ、「欧米に遅れ劣った」との指摘も多い。では、実態はどうなのか――。切り口を変えながら、我が国の医療機器開発についての現状分析と提言をしてみたい。
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懸念でなく期待の持てる改定に
2013年末の薬事改正法成立の後、産業界からは早くも疑念の声が大きくなっている。1年以内の施行という時間的制約があるにも関わらず、内容が不透明であり、かえって規制強化につながるのではという疑心暗鬼の状態を誘引しているからだ。
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「医薬品医療機器法」成立に思う
2013年11月20日、これまでの予測どおりの薬事法改正法案が可決された。1948年に制定された“薬事”という言葉の終焉を告げている。医療機器業界にとっては一段階、やや歩を進めたと言いたいところだが、課題山積の再出発でもある。