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 2013年末の薬事改正法成立の後、産業界からは早くも疑念の声が大きくなっている。1年以内の施行という時間的制約があるにも関わらず、内容が不透明であり、かえって規制強化につながるのではという疑心暗鬼の状態を誘引しているからだ。

次々に噴出する疑問点

 前回のコラムでは、長すぎて覚えられないので「医薬品医療機器法」で十分と書いた。しかし、それでも長すぎるという声が多い。いっそのこと、「薬機法(やっきほう)」とでも呼んだらどうだろう。

 さて、法案成立と同時に、業界の窓口的な役目をする日本医療機器産業連合会(医機連)からは、「歓迎」のコメントが出された。だが、これが本音とは到底考えられない。というのは、個々の団体をはじめ、影響をまともに受ける中小企業団体などからは、少なからぬ疑問点が噴出しだした。

 日本医療機器協会の今村清理事長は、その会報2013年12月号で次のようなメッセージを出している。「『医療機器』に関して独立した章が設けられたことは画期的なこと。しかし、法律は理念を表現しているものであり、その運用が重要。本当に実現できるのかどうか疑問で、これからが正念場」。

 また、薬事コンサルティング会社であるメディカルタウンの井上政昭社長は、月間医科器械誌2013年12月号で次のように述べている。「今回の薬事法改正は、単なる第一歩。医療機器は国家戦略の一つなのに、本来的に『規制法』である現行法とはベクトルが逆。一日も早く、独法としての『医療機器法』の制定が必要で、産業として発展できる体制の確立を」

改訂の大前提になる「業界発展」を主眼に

 2013年暮れ、ある県で開かれた改正の概要を説明するセミナーでの出来事。医療機器製造業が「許可」制から「登録」制になるという事項が注目の的だ。しかし、その説明では、登録書類が簡略化される予定という話のみ。別の県では、実際の「規制緩和」になるのかどうかの疑念が渦巻き、聴講者からの質疑が30分も続いたという。

 こうした反応の一端で示したとおり、早くも心配や疑念が先行していることも厳然たる事実。せめて、所轄官庁には、省令や施行規則について最大限の配慮を要請したい。前述の井上氏の言葉のとおり、「規制法」という概念を貫くなら、いわゆる「日本の技術を世界に」という医療機器の産業展開の基本理念にとって大きな障害となる。少し大げさな表現をさせてもらうなら、それにより国益が損なわれる結果を招いてしまう。

 もちろん、規制緩和が患者の安全性確保の欠如につながるようなことがあってはならない。しかし、医療機器の全体を俯瞰するなら、クラスⅠ・クラスⅡに相当する機器が70~80%を占めているのが現状。すべての医療機器を同一基準で縛り上げることこそ逆効果だ、という認識もあってしかるべきだろう。

 2014年の秋に施行される見込みの新“薬機法”に関し、大所高所からの熟慮を要請したい。担当諸機関としては、産業界のやる気を牽引する役目もあることを忘れないでほしい。