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 このところ「追い風」との表現が目立つ医療機器産業界。しかしながら、個々の関連企業の実態は千差万別であり、具体的事例がつかみにくい。2013年10月1日に発刊された『医療機器への参入のためのスタティブック』(薬事日報社刊)は、それぞれの企業目線からの実例集として注目される。

活性化へのブレークスルーとするために

 3年前に医工連携推進機構で編集した『医療機器への参入のためのガイドブック』は、新規参入の準備用と位置付けられる。主体は、薬事法対応のための手引き書であり、そのための注意点が書かれていた。この主題については、医療機器業界にとっての最大の懸案事項であり、新規参入への難関という表現が適当かもしれない。

 とはいえ、実際の課題は何かと問われれば、具体的な実例を示してもらうのが手っ取り早い。しかも、参入に成功し、事業化を成し遂げた企業に「その要点、解決法」などを書いてもらえば、より分かりやすくなるだろう。いうなれば、帰納法的な手法をとった解説書だ。

 現在の医療機器産業の発展の必要性が叫ばれはじめて久しい。中でも、その課題の中心が「薬事法」突破にあることは目に見えている。薬事法さえ突破できれば、事業化への道が開けるわけで、ここがキー・ポイントなのだ。つまり、業界活性化のためには、新規参入企業を増やし、お互いに切磋琢磨して事業の活性化を図る――。これが本書の基盤となる狙いでもある。

人のふり見て、わが身を再考

 「朝から病院へ行っていたはずの社長が、夕方、図面を持って帰ってきた。詳細が不明のまま試作したら、1週間後には量産の注文書が入ってきた」。本書に紹介されているユニークなエピソードの一例だが、じつに単純明快。

 本来なら同業他社の「参入の動機」というような実例は、開示されることさえまれである。比較のために知りたいと思っても、これぞノウハウというケースが多々あり、公にされる機会も少ない。だが、考え方によっては、それを公開したほうが将来的な事業拡張のきっかけになるという場合もある。こうした実例に接した他社から、協力的な要請が入ることもあるからだ。

特殊なケースとして取り上げられたのが、外国製品の輸入による参入例。日本にないポータブルX線装置を輸入して、販売実績につなげた珍しい例でもある。

 読んだ側からすれば、これまで気付いていない意外な事実を耳にすることにもなる。絶対だめだとあきらめていた条件をクリアするヒントが散りばめられている。コロンブスの卵といえば期待しすぎになるだろうが、考えもつかなかった解決法が見つかる可能性もある。

さらに、既に参入を達成した企業にも、他社の情報を耳にするチャンスとなる。「業許可取得」に絡めて、他企業が意外な展開を図ろうとしている実情が読み取れる。医療機器に関わる多くの関係者に読んでいただきたいと思っている。