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 生体情報モニタの歴史は、かれこれ50年になる。当初は考えてもみなかった「非接触センシング」という手段だが、ここにきて俄然、現実性を増し、それは同時に新市場開拓への道にもつながりそうな勢いがある。

「非接触」という手段から生まれる新用途

 医療機器学会の学会誌編集委員会からの要請を受け、急遽、「非接触モニタリング」の特集記事の編集を行った。主旨は、現代の非接触・非侵襲モニタリングの現況と展望をまとめることにあった。

コラム

 右の写真は同誌2013年8月号の表紙で、特集のタイトルは「非接触モニタリングの時代」とした。

 包含する記事を7~8編に絞り、出発点としての医療をはじめ、未病とも呼ばれる在宅看護や介護の他、日常生活の中でのモニタリングとして、睡眠・ドライブ・スポーツなどのテーマなども取り上げてみた。

 そのテーマ選択の中で感じたことの一つは、非接触という手段が新しいモニタリングの用途拡大につながりつつあるという認識だ。つまり、非接触なるがゆえにモニタリングの対象者の動作や環境条件の枠を取り払い、これまでにない利用を見込めるメリットに直結するという確信である。

 例えば、ステアリングにおけるハンドルや椅子にセンサを埋め込めば、ドライバーの基本的な体調だけでもチェックが可能となる。事故軽減にとって必要性が叫ばれて久しい問題解決に、メスを入れられる時機が到来しているといえるのだ。

「非接触」と「新市場」の関係

 当初、医療における非接触でのセンサ技術の主目的は、患者の非侵襲性・無侵襲性を意識した開発が初動であった。

 最近の非接触センシングの実例に関しては、本コラム欄でもいくつか紹介してきた。それらの共通の開発動機がこの一点に集約されていたことは、紛れのない事実でもある。だが、これらの新技術が生み出すメリットは、全く別の視座を提供することにつながっていく。

 それは、こうした非接触のセンシング技術開発者が意識していなかった、無拘束性や自由度の付与といった利点だ。とりわけ、医療から距離を置く領域、「安眠」「安全運転」「適度な運動」「ストレスからの解放」といった万人が望むところにも利用価値が見いだせることになる。

 「ウエルネス」という現代用語的ニュアンスを有する用語を使うなら、その目的にフィットしたモニタリング技術が現実に近付きつつあるといえよう。ウエルネスの主目的が達成されているかどうかの効果が見極められる、という期待感も膨らむ。

 非接触センサが生む有用性は、その価値が望まれるさらなる“新市場”を産出する可能性が大きい。