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 非接触モニタリングからさらに一歩進んだ理想的な技術がある。“非接触”とか“無接触”というより、完全なる遠隔測定というべきで、最近になってようやく商品として実用化された。

原点に遡るなら「人命探索装置」

宮田喜一郎
Sirius

 2011年の東日本大震災以降、既に忘れ去られてしまったような状況ではあるが、2004年の新潟県中越地震の際、注目すべき一つのエピソードがあった。当時、使われた“Sirius”というドイツ製の人命探査装置のことだ。

 おおいぬ座のα星であるシリウスは全天第一の輝星であり、それを商品名にすることにより「鋭い眼光を備えた探索犬」のイメージとダブらせたらしい。Siriusから発せられた電磁波は、障害物を乗り越えて25m先の標的にまで到達する。生命体が発する心臓や肺の小さな動きに反応して反射波が返ってくれば、ソフトウエア技術で心弾動図や呼吸波形が描出可能なのだ。

 Siriusによる当時の2歳児救出劇は世界を駆け巡り、この装置の存在と重要性を認識させたものだった。

初の商品化に成功したのは「睡眠計」

 ときとして、遠隔測定技術の導入は、医療の場や介護の場などでも求め続けられてきた。これまで、生体情報モニタの領域では、この要求に応えられる商品が存在しなかった。

宮田喜一郎
HSL-101

 ところが2012年5月、オムロン ヘルスケアが発売した睡眠計「HSL-101」には、Siriusで利用している電磁波と同じ原理の技術が使われた。これまで、生体情報モニタの分野で非接触タイプのものは存在していたが、遠隔測定技術を内蔵したシステムは皆無だった。

 HSL-101は、オムロン ヘルスケアがアイルランドのメーカーと共同開発した。睡眠中の脈拍数や呼吸数、体動などをモニタリングする。この製品は、センサを何も装着せずに睡眠中の被検者の睡眠状況をモニタリングできるもので、医療機器の世界に革新的なテクノロジーを導入したことに意義がある。

 ただし、発売後1年が経過しているものの、市場からの評価は未知数の部分がある。新しい医療機器の持つ宿命的な面もあるが、今後のユーザー側からのフィードバックが重要となる。それには、同類の商品群が登場することにより、この技術領域でのさらなる展開に期待するところが大きいと言える。