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 前回示した非接触モニタリング技術の例をもとにして、その技術から得られるアウトプットについて考察してみたい。

トレンドグラフから読み取る睡眠の質

 介護のための必須項目が「睡眠」の観察であることは、誰しもが認めるところだ。被介護者にとって適切な睡眠がとれていることが、健常な状態を示唆しているといってもよい。逆に言えば、介護の中心課題は何かを考えると、まずは適切な睡眠がとれように仕向けることで、そのためのモニタリングが重要となる。

 下の図には、「眠りSCAN」(パラマウントベッド製)を使用して得られた健康な人(30代男性)と要介護者(80代女性)を対象とした典型的な睡眠の経過図が比較してある。

宮田喜一郎
左が健康な人(30代男性)、右が要介護者(80代女性)

 この図からも明らかなように、離床(白)/着床の判別とともに着床中の覚醒(黄)/睡眠(青)の判別も明確に表示される。睡眠がうまくとれているのかどうかは、被介護者を観察しているだけでは判定しにくいが、これらの経過図ではその判断が容易となる。

 通常、「睡眠の質」とは、その深さを指すケースが多い。しかし、経過図を見るだけでも、その状況が明瞭化される。要介護者の例でいうなら、頻繁に睡眠と覚醒が短時間で繰り返されているので、明らかにその質の悪さが推定可能となる。

ポリソムノグラフィーへの強力サポート

 眠りSCANは非接触でありながら、明瞭な睡眠経過図が提供できる。睡眠のモニタリング用として格好な装置だといえる。

 主となる用途は「介護用」というわけだが、医療用としても価値がある。医療の現場では、ポリソムノグラフィーと称して、脳波や眼球の動き、いびき、SpO2、心電図など文字どおり多くのパラメータを測定して睡眠状況の診断を行っている。しかし、こうした測定に必要なセンサ類を装着して睡眠状況をモニタリングすると、被験者にとっての煩わしさが睡眠そのものの障害となり、診断結果に悪影響を及ぼしてしまう。

 こうした測定方法への欠点を取り除く意味で、眠りSCANのような非接触センサのみによるスクリーニング実現の意義は大きい。今後、得られたデータのソフトウエア解析の精度が上がれば、睡眠評価という目標に対して、さらに高い精度が得られる可能性もある。もちろん、主目的の介護領域はもとより、医学の世界における役割も期待できる。