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 1980年代後半ごろから電子産業では新たな分業がいくつか発展した。米Apple社の「iPhone」をめぐるグローバルな分業(本連載第3回)やパソコンにおける水平分業(同第4回)などが、その例である。そして半導体でも、設計と製造の分業が盛んになった。

ファブレスとファウンドリの分業

 1980年代後半から半導体分野で、設計と製造を別の企業が担うという分業が発展する。半導体工場を持たないファブレスのチップ設計会社と、半導体製造サービスに特化したシリコン(Si)・ファウンドリによる分業、これが次第に広まる。

 なおファブレス(fabless)という言葉は、「fabrication less」から来ている。「製造工場を持たない」という意味である。またファウンドリ(foundry) には本来、鋳物、鋳物工場という意味がある。「鋳物を鋳造するように、シリコンで半導体製品を製造する工場」といったところか。

 純粋のファウンドリは自社ブランドの半導体製品を持たない。その意味で、ファウンドリはサービス業であって、メーカーではない。製品ブランドは発注者が持つ。製造工場を持っていなくても、「メーカー」は発注者である。製造者責任も発注者に帰する。

 日本の半導体メーカーは、この設計と製造の分業を嫌った。設計と製造を統合した事業形態(IDM=integrated device manufacturer)に最近まで固執し続ける。これが日本半導体産業の衰退の一因、私はそう考えている。

ファブレスとファウンドリの存在感が大きく

 ファウンドリも含めた半導体売上高ランキングを米調査会社のIC Insights社が例年発表している。その2012年の結果によると、1位は米Intel社で、売上高は491億米ドルだった["Pure-Play Foundries and Fabless Suppliers are Star Performers in Top 25, 2012 Semiconductor Supplier Ranking," IC Insights Research Bulletin, March 27, 2013]。

 2位は韓国Samsung Electronics社で売上高は323億米ドルである。3位は台湾のファウンドリTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. Ltd.)で、売上は172億米ドル、4位にはファブレスの米Qualcomm社が入り、売上は132億米ドルである。ファウンドリとファブレスが、それぞれ3位と4位を占めるに至っている。

 同時に2012年、ファウンドリとファブレスの成長率が高く、統合メーカーは不調だった。中期的にもファウンドリとファブレスの成長率が統合メーカーより高いと、複数の調査会社が予測する。これまで統合メーカーだったところが、自社生産を減らし、ファウンドリへの生産委託を増やしていることが、この傾向を助長している。

 さらにパソコンからモバイル機器への市場転換は、Intel社の存在感を小さくし、ファブレス企業(特にQualcomm社)の躍進につながっている。ファブレスの躍進は当然ファウンドリに有利に働く。設計と製造の分業、すなわちファブレスとファウンドリの組み合わせは、存在感を、ますます大きくしている。