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2月24日に経団連ホールで開催された「健康経営シンポジウム2012」の様子。
2月24日に経団連ホールで開催された「健康経営シンポジウム2012」の様子。
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 2月24日に開催された「健康経営シンポジウム2012」を取材しました。

 経済産業省が、医療や介護の関連分野の規制改革・産業創出の調査研究の一環として進めている、「健康経営による健康・医療の産業化調査事業」の報告を中心に、同省のヘルスケア産業課長や三井化学の産業医による基調講演、第一生命、三菱電機といった大企業での健康経営の事例紹介などが内容です。

 社員の健康増進が生産性の向上につながり、それが企業価値を高めるという考えに立ち、それを促進するための様々な取り組みが発表されました。

 さて、「健康経営」という言葉を聞いて、私は10年ほど前、日経ビジネス誌に執筆した記事を思い出しました。タイトルは、「社員の病は会社の病~健康マネジメント先端企業」。

 ビジネスマンの心身が痛んできている中、社員の健康の維持・増進が経営上の重要課題になってきたととらえ、病気の予防や健康づくりに乗り出した先駆的な企業の実例を紹介した記事です。生産性の向上を図り業績を伸ばすためにも、「健康マネジメント」が不可欠だと指摘しています。

 その時の取材経験を思い出しながら、今回のシンポジウムを聞いたところ、今や、健康経営へのインセンティブ(あるいは圧力)が相当高まってきていると思うに至りました。とりわけ、「健康経営評価」や「健康経営格付け」の動きにそれを感じたのです。

格付け取れば大きなメリット

 「健康経営評価」は、この調査事業を統括する東京大学の古井祐司氏らが進めているものです。客観的な評価指標を導入することで他社との比較を容易にして、具体的な健康経営の取り組みに着手しやすくする狙いがあります。

 シンポジウムでは、中項目レベルとして、「『健康増進』を企業レベルの取り組みに位置づけているか」「生活習慣病対策を適切に実施しているか」など、16項目が提示されました。2011年度は日本を代表する大企業15社に評価を実施し、他社との違いがわかるように評価結果を作成しているそうです。

 これに連動する形で、日本政策投資銀行などが進めているのが、「DBJ健康経営格付け」です。

 シンポジウムでは、130点満点中、最高のSランク「従業員の健康配慮への取り組みが特に優れている(特別表彰)」を100点以上とし、5段階に評価する案が提示されました。格付けを取得すれば優遇金利による融資が受けられるほか、ホームページなどに健康格付けのロゴマーク(商標登録申請中)を掲載できるようにして、CSR(企業の社会的責任)上の効果も狙っています。

 既に「健康経営」の重要性は、人事部門を中心に多くの企業で認識されていると思われます。しかし、そのために何をどのように実行すればいいのか、考えあぐねている会社も少なくないでしょう。

 そのうえ、在職死亡者数の減少や健康診断の異常者数の改善などを超えて、経営に直接メリットを及ぼさないと、健康経営推進に対する経営層の理解が得にくい面があるのも否定できません。

 経産省の調査研究事業はヘルスケア産業の振興を主目的としたものです。しかし、そのための一手段として健康経営への取り組みを後押しすることで、社員と企業の健康増進に一役買ってくれればいいなと思います。