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 日本でも時々、高齢者を中心にした町づくりの話が出る。たとえば、大前研一の『サラリーマン「再起動」マニュアル』(小学館)では、

「アメリカでは25年ぐらい前から「高齢者タウン」が続々と誕生している。アリゾナ州のサンシティ、フェニックス、スコッツデール、カリフォルニア州のランチョ・サンタフェ、ラコスタ、パーム、スプリングス、フロリダ州のオーランド、ネバダ州のラスベガスなどが有名だ。これらの気候温暖で風向明媚な所に寒冷な北東部から、リタイアした人々が続々と移住してくるのだ。
 高齢者タウンといっても、収容施設のごとき陰鬱な町ではない。たとえばサンシティは、明るい陽光が降り注ぐ活動的なリゾートタウンで、今は少し老朽化した感が否めないものの、できた頃は若い人たちが大勢ボランティアとして働きに来ていた。住民はハイキング、バーベキュー、ゴルフ、テニス、乗馬、釣り、音楽などを思い思いに楽しみながら過ごしている。ランチョ・サンタフェなどではコミュニティ活動も盛んで、株式投資の勉強会などいろいろなことを共同でやっている。医療機関も非常に充実しているので、もし病気になっても不安はない。
 (中略)
 高齢者タウンができたことによって町の性格まで一変したのがラスベガスだ。かつては賭博と買春と離婚の町といわれていたが、現在は華麗なショーやショッピングをメインにした家族旅行とコンベンションの場所として栄えている。定住人口120万人余の大半は、移住してきた高齢者だ。その人たちの子供や孫が訪問できるような健全な町に変えたことが、ラスベガスの成功の理由なのである。」

と書かれている。

原則55歳以上しか住めない「サンシティ・アンセム」

写真1:高齢者タウンである「サンシティ・アンセム」には現在、7144世帯、13500人の住民が住んでいる
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 我々は、ラスベガス近郊のネバダ州ヘンダーソン市(人口30万人)の高齢者タウンである「サンシティ・アンセム」を訪問した(写真1)。アメリカの不動産会社、デル・ウェブは、こうした高齢者の町を全米各地に8カ所ほど建設し、それらの町には合わせて9万人程度の人が住んでいる。

 約600万坪の広さを持つサンシティ・アンセムでの居住には年齢制限があり、55歳以上であるか、55歳以上の人との同居が条件となる。たとえば、夫婦のどちらかが年齢基準を満たしていれば購入・居住が可能となる。ただし、19歳以下の未成年者は住むことはできない。