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“事業化職人”の米国

 こうした事例が示すのは、医療機器の事業化については、初期の試作段階での状況を見ながら、創始に関わらない第三者が製品化に漕ぎ着けている、ともいえる。発明品としての初号機を「試用段階」でじっくり見ながら、「実用品」として仕上げる。それこそ、研究者でなく実業家といわれる人たちが得意とする分野だ。

 米国式の医療機器産業は、欧州で発想された品種の多くを実用品として仕立て上げる“事業化職人”と称してもよいかも知れない。

 もちろん、人工呼吸器やガンマナイフのように、最初の開発の優位性を保ったまま、製品としてのシェアを維持している例もある。

 前出の表に示したとおり、日本で創始された製品も散見される。だが、内視鏡を除いて、商品化の面で優位に立っているとはいい難い。日本の発明品として名高いパルスオキシメータが米国でのサクセスストーリーとなった事実は、日本企業の事業化への熱意の欠如といわれても仕方ない。

オリジナリティーより事業化への努力を

 こういう観点に立つなら、医療機器全般について見る限り、世界的にもアイデアや研究に関わるオリジナリティーが必ずしも事業化と結び付いていない、と結論付けられる。

 ここで一つの公式を導き出してみよう。

 役に立つ医療機器を生み出す方法は、新規発明や新しいパラメータの発見に依存しすぎてはいけない、とうことだ。それよりも、医療に役立つ「製品化への努力」が重要なカギを握る。つまりは、数多の製品群の中から「本当に役立つ製品」を生むのは、商品としての価値を付加する「真のものづくり」への挑戦にある。

 他人のふり見て、とはいわないが、「日本の開発ラグ」の実情を嘆くより、現存する基礎技術の「製品化・事業化」への方策を探る必要がありそうだ。