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「共感のプラットフォーム」としてのクラウドファンディング

 「クラウドファンディングは、個人が単にモノを買うだけでなく、企業主の事業趣旨に賛同して、参加する意識を共有できる。資金提供者は、“投資家”として長期にわたって活動を応援することも多い」。これは、いわば商品の魅力と同時に、新しいアイデアやコンセプトに共感し、資金提供を通じて活動を支援するという行為に一般消費者が大きな関心を寄せるようになったということだろう。

 クラウドファンディングが資金調達の大きなうねりになった背景には、「Facebook」や「Twitter」といったソーシャルメディアの普及がある。ソーシャルメディアは、個人が発信した情報への「いいね!」や「リツイート」が伝播していく、いわば「共感のメディア」だ。知人や友人がソーシャルメディアで勧めるプロジェクトを簡単に知り、自らも共感を表明できる環境の広がりがクラウドファンディングによる資金調達の枠組みとマッチした。

 機器開発という観点では、ある程度の資金とアイデアがあれば、既存の部品を組み合わせて機器を構成し、小ロットでも採算が取れる環境が生まれていることも大きい。iblazrのプロジェクトが象徴するのは、外装の素材だけを小ロットで変更しながら製造するような枠組みが可能になってきていることだ。デジタル化による部品のモジュール化の進展や、EMS(電子機器の受託製造)やODM(電子機器の受託設計/製造)の興隆が背景にある。

 インターネット家電開発を手掛けるCerevoの代表取締役で、自社でもクラウドファンディング・サービス「Cerevo DASH」を運営する岩佐琢磨氏は、「生産台数が3万~5万台でも、コスト面で十分に大手メーカーと戦えるものが作れるようになってきた」と、最近の開発環境の変化を指摘している。これにより、一部の消費者が欲しているであろう特定の機能に特化した製品をいち早く製品化しても、採算が見込める時代になっているというわけだ。

 もちろん、クラウドファンディングには危うさもある。出資額が目標額に達して資金調達が成立したにもかかわらず、プロジェクトの実現時期の約束を守らなかったり、プロジェクト自体が頓挫してしまったりする可能性があるからだ。最悪の場合には、設計図だけで実際には全然作れないといった詐欺に近いトラブルが起きるかもしれない。特に、比較的多くの先行投資が必要で、技術課題を抱えることが多い機器開発の分野では、他の分野よりもその可能性は高いだろう。

 それでも、クラウドファンディングは、商品やサービスヘの共感を重んじる一般消費者の意識変化を背景に、資金調達手法の一つとして今後も存在感を増していきそうだ。日本では、まだ米国のような巨額の資金調達の事例はない。ただ、ひとたびクラウドファンディングによるヒット商品が現れれば、製品開発の常識、そしてヒットの方程式を根底から一気に覆すポテンシャルを秘めている。