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 インターネット、デジタル家電、スマートフォン(スマホ)、タブレット端末の普及で、生活環境はますますデジタル化され、我々はいつの間にかデジタル化の波に飲み込まれている。そして、その波は料理の世界にまで押し寄せてきている。料理は、味付けや火加減など微妙なコントロールが求められるので、どちらかというとアナログの世界のものといった印象があるかもしれない。しかし、社会の流れや人々のライフスタイルの変化で、料理もデジタル化されつつある。進化を続ける製造技術と情報技術(IT)がそれを後押ししているのだ。今回は、料理のデジタル化を考察してみる

* 筆者は、デジタル化というのは「2値化」のことであり、それはある種のパターン化とみなせると考えている。また、デジタル化の延長線としてネットワーク化があり、通信プロトコルの活用やクラウド化などもデジタル化に含まれると考えている。ここでは、そうした広義の意味でデジタル化という言葉を使っている。

ファスト→インスタント→クラウド

 この数十年間、店でも家でも料理をする時間がどんどん短縮して、どんどん簡単になっている。料理をするプロセスが「抽出(サンプリング化)」され、料理の中身が「パッケージ化」されていった結果だ。味付けがなされた「パッケージ」を「プロトコル」のような規定で混ぜたり加熱したりすることで料理はすぐ出来上がる。このように、料理の世界は、実にITの世界と同じ方向に進んでいると見られる。さらに、近年は、ITと同様、クラウド化の方向にも発展している。

1.時間の短縮
 ファストフードの誕生と普及は随分前のことだ。マックドナルドのハンバーガーがファストフードの幕を開いた。ハンバーガー、サンドイッチ、ホットドックなどはどこでも目にする存在だ。料理をする複雑なプロセスを工場で「パッケージ化」し、店では運ばれた「パッケージ」をちょっと加工すれば完成だ。

 米国発のファストフードに負けず劣らず、日本も実は数多くのファストフードを発明し、世界で知られている。あちこちの牛丼やカレーライスの専門店に入ったら、ハンバーガーよりも早く、コメ文化ベースの熱々の牛丼やカレーライスが食べられる。コメ文化で育った人々にとって、それは嬉しいことに違いない。

 外食だけではなく、内食もそうした流れで発展している。一番有名なのはやはりインスタントラーメンだ。これは20世紀の大発明と言われる革新的な食品であり、日本から世界へ広がった。日本から世界への大貢献とも言える。ラーメンは本来面倒で作りにくい料理だが、インスタントラーメンは食材や調味料などの準備は一切不要で、どこでも、お湯があれば数分で温かなラーメンが出来上がる。

 インスタントラーメンは、中国のスーパーマーケット(スーパー)でも日本とほとんど変わらない品揃えがあり、インスタントラーメンがいかに海外へ広がり、受け入れられたかがうかがえる(図1)。さらに、このようなパッケージ化はラーメンだけにはとどまらず、コンビニエンスストア(コンビニ)やスーパーでは、惣菜や弁当、インスタントラーメンを扱う広い売り場が存在している。このことは、いかに日本人が忙しく、勉強や仕事以外の時間を節約しているかを表している。

図1●日本と中国のスーパーマーケットにおけるインスタントラーメン(方便麺)売り場の様子
タイトル02
図1●日本と中国のスーパーマーケットにおけるインスタントラーメン(方便麺)売り場の様子
左が日本、右が中国。