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 ゼンリンという会社をご存じだろうか。地図データを制作する日本最大の民間会社である。本社は福岡県北九州市の小倉駅近くにある。カーナビ向け地図では国内で約7割のシェアを誇り、「ゼンリン住宅地図」と呼ぶ詳細な住宅地図は全国の99%をカバーしている。この詳細な地図データベースは警察や消防、自治体をはじめ、電力会社やガス会社などで利用され、社会インフラを支えているのだ。

小倉駅近くにあるゼンリンの本社
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 こうした地図はどのように作られているのか――。  ゼンリンの地図制作現場を取材する機会を得た。訪問したのは、ゼンリン本社がある大型商業複合施設「リバーウォーク北九州」からクルマで数分のところにある「ゼンリンテクノセンター」だ。ここでは、地図データベースを制作・管理しており、同社の地図を支える心臓部である。この他、本社の14階にある「ゼンリン地図の資料館」と、福岡市博多駅近くにある3次元地図データを専門とする「ジオ技術研究所」を訪問した。

 そもそもゼンリン設立のきっかけは、1949年に創業者の大迫正冨氏らが立ち上げた華交観光協会が発行した大分県別府市内の観光案内冊子『年刊別府』にある。冊子自体よりも付録として添付された市街地図に観光客からの人気が集まったことから、創業者が地図の重要性を認識したという。当時発行した年刊別府そのものは所蔵していないが、ゼンリン地図の資料館には、その冊子の表紙の写真があった。

ゼンリン地図の資料館
同資料館では、伊能忠敬とその測量隊が作成した「伊能中図」の原寸複製が床一面に描かれている。
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年刊別府
1949年6月に発刊した「年刊別府」。1950年4月には善隣出版社から「観光別府」を発行した。
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 その後、1950年に華交観光協会は善隣出版社と改称し、1952年6月には第1号となる住宅地図「別府市住宅案内図」を発行する。1954年に本拠地を福岡県北九州市に移転し、「住宅案内図」の名称を「住宅地図」と改める。現在のゼンリンという社名になったのは、1983年のことである。