専門性や立場の異なる複数の識者が半導体の今と将来を論じる「SCR大喜利」、今回のテーマは「米Applied Materials社(AMAT)と東京エレクトロン(TEL)の経営統合を読み解く」である。半導体製造装置業界の大手2社の経営統合の背景には何があるのか、そして業界にもたらすインパクトとは。半導体業界の動きを常に追う5人のアナリスト、コンサルタントに聞いた。
各回答者には、以下の三つの質問を投げかけた。今回の回答者は、アーサー・D・リトル(ジャパン) マネジャーの三ツ谷翔太氏である。
アーサー・D・リトル(ジャパン) マネジャー

【質問1の回答】半導体市場の成熟と集約化に伴う、装置業界の集約化
スマートフォンやタブレット端末が、IoT機器とクラウドのハブとしてライフスタイルの向上に新たな価値を提供し続けるように、今後も半導体製品の新規開発は続いていく。しかしながら、それは莫大な生産能力増強に結びつくとは限らず、半導体市場そのものとしてはすでに成熟(成長の鈍化)が予見されている。
また、技術的に見ると、微細化やウエハー大口径化の投資負担がますます増大しており、そのことが製造装置メーカーの顧客である半導体メーカーの集約化を招いている。
そうした半導体産業の不可避な変化に起因して、前工程から後工程までを含む製造装置市場全体では頭打ちが予見されており、今後も400億米ドル前後の規模で推移するとの予測がある。また、全体として頭打ちである中、成長するのは前工程だけであり、装置産業としてはより一層の競争激化が進むことになる。
結果として、製造装置業界において上位プレイヤーへの集約化が進展しており、今回の両社の経営統合もその流れに沿ったものといえよう。