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ビジネスの仕組みのパターンを洗い出す

 頭を整理するために、ビジネスの仕組みやそれを具体化することによって生み出される商品やサービスを既にあるもの/ないもの、潜在化している/していないなどでパターン分けしたものを図1に示します。

 図1は、新しいビジネスの仕組みを創る場合、もう既に世の中にあるのか、そしてそれは売れているのか、また顕在化しているのか、または潜在化してまだ誰のその存在に気づいていないのかなどの場合分けをしたものです。

 世の中に既にあるものでも、その商品、サービスの売り方や伝え方で事態は変わってきます。それが既に売れている①の場合は、新たに参入しても参入障壁が高いことが多く、またコスト競争が既に起こっている可能性も高いかもしれません。ここに新たに商品やサービスを投入するビジネスは、よほど工夫を凝らさないと成功する可能性は低いでしょう。

 世の中の商品の多くはこのカテゴリーにあって他社と競争しています。電気製品や自動車もそうですし、ITを使った新しいサービスなどもいったん世の中に広まってしまえば他社がすぐに追従します。

 インターネット上で共同購入型クーポンを売るというアイデアを実現したグルーポンという会社があります。創業は2008年で、その新しいビジネスモデルは一時は日本でもかなり話題になりました。2010年には日本でもグルーポン・ジャパンが創業しましたが、あっという間に似たようなサイトが現れて一時はその数は200を超えたといいます。このように一度顕在化して周知されたビジネスモデルは、他社が参入することで競争が激しくなります。

 では、商品やサービスが既にあるのにそれが売れていない場合はどうでしょうか。図1の②がマーケティングや商品自体の改善次第で売れる可能性があるものです。他にない工夫をすれば他社に一歩先んじて市場を取れる可能性があります。しかし③のようなマーケティングをいくら頑張っても売れない商品やサービスも存在します。

 ハウス食品が2012年に発売した『トーストシーズニング』という商品があります。「シナモンシュガー」という商品をスーパーなどのスパイスの棚に置いてもらっていたのですがなかなか思うように売れなかったといいます。そこでこの商品を“パンのふりかけ”としてパン売り場に置くという工夫をしたところ売り上げが15倍になったというのです。
(参考「パンのふりかけ スパイス棚からパン売り場に移し売上15倍増」(外部のニュースサイト))

 このように世の中に既にある商品でマーケティング不足などによって需要を掘り起こせないものも、工夫次第で需要を喚起できることがあります。これが図1の②の場合です。もちろん商品自体に売れる要素がなく、マーケティングを行っても売れない③のようなものもありますから、この見極めが重要になってきます。

 次にまだ世の中に存在しない商品やサービスについて考えてみます。

 他にないアイデアを思いつき、それを基に新しいビジネスを創り上げようとします。まだ世の中にない製品やサービスを生み出すビジネスの仕組みを具体化して世に問います。

 そうして生まれた新しい商品やサービスが幸い消費者に受け入れられたとしたら、それらは④のカテゴリーとなります。残念ながら売れなかった場合⑤は失敗です。

 いったん作れば売れると分かり世の中に出た商品やサービスは、もう世の中に存在するわけですから図中の点線の経路をたどりますが、先行者利益を享受できる公算が大きくなりますし、他社が追随できないような戦略をあらかじめ練り上げることで模倣する他社の追い上げをかわすことも可能かもしれません。ビジネスで成功するチャンスが大きくなるのです。

 先に例に挙げたグルーポンの場合も新しいアイデアで生み出されたビジネスの仕組みですからやはり先行者利益はあったでしょう。日本国内でもすぐに200社もの類似のビジネスが立ち上がりましたが、やはり先行するグルーポンが強く多くの類似したサービスは淘汰されています。

 トヨタ自動車は、ハイブリッドエンジンの技術開発と他社に先行するハイブリッド車の販売で先行して先行者利益を取ろうとしましたし、タブレット端末で先行したアップルも同じく④のカテゴリーを狙ったのです。

図1:ビジネスの仕組みのパターン
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