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ビジネスをデザインする

 「価値提供」と「消費者のニーズ」をうまくマッチングしたビジネスの仕組みを背景にビジネスの戦略を作り上げることが「事業力」を大きくします。そして、そのビジネスをどのように立ち上げるのかが事業の将来を左右します。既存の商品の売り方で差別化するのか、他社にない技術力を背景に他にない商品やサービスを作るのかでビジネスの仕組みはまったく違ってきます。

 従来通りのビジネスを続けていたらよかった時代と異なり、ものやサービスが溢れ、新興国の追い上げが激しい現在では、他と差別化できる新しいビジネスの仕組みをどのようにして創り上げるのか、すなわちどのように新しいビジネスをデザインするのかがとても大事になっているのです。

 さて、今回はこのビジネスの仕組み、ビジネスのデザインの考え方の基本について述べてきましたが、それではその新しいビジネスそのものはどのように発想していくとよいのでしょうか。

 以前のコラムで私は、これからの新しいビジネスを創り上げるのに必要な「三つの鍵」と称して、次の三つに着目することについて述べています。

・デザイン
・ブランド
・ネットワーク

 この三つに着目するのは、これらがこれからのビジネスを発想するきっかけとなると私が考えているからです。

 この場合の「デザイン」は、単なる意匠や工業デザイン、ウェブデザインだけでなく、それらを支える事業そのものデザインという広義の定義であり、こうしたビジネスの仕組み、グランドデザインをどのように組み立てていくのかを考えることがこれからはもっと必要になってきます。

 なぜなら新興国などがたやすく真似のできる製品単独ではなく、ビジネスそのものの仕組みをどうするのかというグランドデザイン力が、競争の激しくなった環境下で他と差別化した商品やサービスを生み出すために問われているからです。今最も重要になっているものは、単なる「ものづくり」から、ビジネスを支える背景までを含めたグランドデザインを考えた「ことづくり」への移行だと考えているのです。

 これらを基にした新しいビジネスをデザインする力を身に付けることが、新しいものづくり企業へ成長するための新たな道の一つになるでしょう。しかしながら今回述べたような、今手に入る情報を左脳的に緻密に組み立てる議論だけでは十分ではありません。さらに突き抜けた考え方が必要になってくると思っています。

 次回以降は、このビジネスをことづくりまで延長した新しいビジネスの形や、一見「ことづくり」とは関係がないように見えるB2Bビジネスについても考えていきたいと思います。

 さらに「三つの鍵」の3番目である「ネットワーク」をどのように扱い、左脳的なロジカルな思考だけでは十分ではない新しいビジネスを発想していく突き抜けるような力をどのようにして手に入れればよいかなどについて、より深く考察していく予定です。

生島大嗣(いくしま かずし)
アイキットソリューションズ代表
大手電機メーカーで映像機器、液晶表示装置などの研究開発、情報システムに関する企画や開発に取り組み、様々な経験を積んだ後、独立。「成長を目指す企業を応援する」を軸に、グローバル企業から中小・ベンチャー企業まで、成長意欲のある企業にイノベーティブな成長戦略を中心としたコンサルティングを行っている。多数のクライアント企業の新事業創出/新製品企画・開発等の指導やプロジェクトに関わる一方、公的機関等のアドバイザ、コーディネータ、大学講師等を歴任。MBA的な視点ではなく、工学出身の独自視点での分かりやすい言葉で気付きを促す指導に定評がある。経営・技術戦略に関するコンサルティングとともに、講演・セミナー等の講師としても活躍中。
生島ブログ「日々雑感」も連載中。
中国ビジネス書の翻訳出版本である「中国モノマネ工場――世界ブランドを揺さぶる「山寨革命」の衝撃」の監修・解説も担当した。