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テレワークが開く新しい働き方

 北海道北見市在住の田澤氏は、育児や夫の転勤などによって働きたくても働けない状況の人を、遠隔地で働くテレワーカーとして選考・採用し、プロジェクト型で業務を受託する会社を経営している。テレワーカーとは、1週間に8時間以上を、ICT(情報通信技術)を利用して、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方をする人のことを指す。田澤氏はさらに、在宅勤務を推進するコンサルタントとして、企業などの在宅勤務の導入を支援している。

出版記念パーティーで著書を自民党の高市早苗政調会長に手渡す田澤由利氏(左、写真:筆者)
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 実はこうした柔軟な働き方は女性の就労を促すだけではない。このところ私の周辺でも、男性が親の介護のために休職したり、中には仕事をやめてしまったりすることが相次いでいる。働き盛りの、特に責任ある立場で活躍していた人材を突如失うことは、企業側にとっても大きな損失だ。休職後の復職がスムーズにいくかどうかについては、育児休業と同様の不安があるだろう。そしてこうしたケースは今後ますます増えると予想される。

 男性の生涯未婚率(50歳時点での未婚率)は2割を超えており、今後も増え続ける見込みだ。兄弟姉妹の数が本人を含めて2人以下の人が7割前後を占めていることを考えると、親の介護を担う可能性がある男性は少なくない。ダイヤ高齢社会研究財団が3月19日に発行した「超高齢社会の従業員の働き方と企業の対応に関する調査」によれば、介護離職の可能性があると答えた男性は7.1%であった。テレワークによる就業継続の可能性は介護を担う男性にとっては光明だろう。そして会社にとっても、だ。

 田澤氏の出版記念パーティーと同じ日、厚生労働省が在宅勤務制度を新たに導入する中小企業を対象に、テレビ会議装置などの初期投資費用の1/2(上限100万円)を補助する助成金制度を創設するというニュースが飛び込んできた。今年4月に創設されてからは、職場意識改善助成金(テレワークコース)として厚生労働省のWebサイトにも掲載されている。 人口減少時代を目前に、政府も労働力確保に本気になってきたと言えそうだ。

 実は、ICTが在宅勤務を変えつつある。特にクラウドコンピューティング環境とモバイル端末の普及が、在宅勤務などのテレワークを後押ししている。オフィスを離れても仕事がしやすい環境になったということだ。テレビ会議装置など、離れた場所にいても一緒に議論できる仕組みを低価格で利用できるようになり、性能もどんどん上がってきている。最近では、自分のアバターロボットが、オフィスにいる人のそばに出向いて会話できるような装置も開発されている。

 ICTは、ビジネスは都心でという日本企業の常識もかえるかもしれない。企業のサテライトオフィスが続々誕生している徳島県神山町の事例が思い起こされる。2011年にNHKのニュースで、足を川につけながらノートパソコンで仕事をする男性の姿が放映されたのを覚えている人もいるだろう。