「開発の鉄人」として著名な開発コンサルタントである多喜義彦氏は、これまでに3000件の開発テーマの支援に携わり、現在も40社以上の技術顧問などを務めている。
企業の開発現場に自ら足を運び、技術をいかに活用し、応用開発につなげるかを助言してきた多喜氏に新事業開発を進める上で、本当は知っておくべき“言えない大事”について思う存分に語ってもらう。
システム・インテグレーション 代表取締役

「開発の鉄人」として著名な開発コンサルタントである多喜義彦氏は、これまでに3000件の開発テーマの支援に携わり、現在も40社以上の技術顧問などを務めている。
企業の開発現場に自ら足を運び、技術をいかに活用し、応用開発につなげるかを助言してきた多喜氏に新事業開発を進める上で、本当は知っておくべき“言えない大事”について思う存分に語ってもらう。
“開発の鉄人”がこっそり教える虎の巻 #100
よく、あいつは外面(そとづら)は良いが内面(うちづら)が悪い、と言うことがある。その逆の、内面が良くて外面の悪い人もいるにはいるが、どちらかと言うと、内面の悪い人の方が多いようだ。内面というのは、身内や近い関係の人に見せる態度や物言いのことだが、なぜ、内面は悪くなってしまうのだろうか。それも、外面の…
“開発の鉄人”がこっそり教える虎の巻 #099
労い(ねぎらい)の挨拶を、相手によって使い分けるのは日本人だけだろうか。目上の人には「お疲れ様です」と言い、目下には「ご苦労様」。同僚同士なら「ヨオッ」や「じゃあね」で済むのであるが、会社の中では微妙な話。とにかく、日本人の上下関係は厄介だ。そもそも、お疲れ様ですと言うのも、昔は目上の人に言うのは失…
“開発の鉄人”がこっそり教える虎の巻 #098
締めが甘いと言われることがある。プロジェクトをまとめるときに、最終段階になって重要事項を忘れていたのが分かったり、それまではしっかりとやっていたのに、最後の最後になってチョンボ(ミス)したりするのである。また、宴会や呑みの席で一区切りをつけようと最後に飲むのが「締めの一杯」で、勘定するときには「締め…
“開発の鉄人”がこっそり教える虎の巻 #097
企業が開発に取り組む動機は様々だ。そして、開発が上手くいくと新事業や新商品が生まれ、自ずと売り上げも増えて事業規模は大きくなる。しかしそれは、必ずしも、新事業や新商品を開発すれば売り上げや事業規模が大きくなるということではない。よく見ると、開発に取り組む動機と言うか、物事に取り組むときの想いや願望の…
“開発の鉄人”がこっそり教える虎の巻 #096
年功序列とは、サラリーマンの勤続年数や年齢に応じて賃金を上げていく制度のことだ。個人の能力や実績に関わらず、誰もが年齢(勤続年数)だけで賃金が決まる仕組みだが、いかにも日本的な制度である。
“開発の鉄人”がこっそり教える虎の巻 #095
新事業・新商品開発を進める中で、最近、本当に便利になったと思うことがある。例えばGPSはその最たるものだ。カーナビゲーションなどは、知らない人はいないくらいに普及していて、もっともICTらしいICTと言われるハイテク技術である。そのGPS、最近の報道では位置精度が従来の百倍になると言うから驚いた。何…
“開発の鉄人”がこっそり教える虎の巻 #094
文武両道と言うときがある。学問と武芸、今で言うなら勉強とスポーツの両方に優れている人のことだが、最近ではメンタルとフィジカルの両方が強い人を言うこともあるようだ。文とは言葉のあや(模様やニュアンス)であり飾ることや巧みなこと、すなわち文化芸術的なことである。そして武とはたけだけしい、つまり勇ましく強…
“開発の鉄人”がこっそり教える虎の巻 #093
このあいだ、二兎を追ってもいいじゃないかと書いたが、今回はウサギではなくてドジョウの話である。そして、同じ二匹でも、ドジョウの二匹目はいないのだ。この話、いつから語られているか、それは知らない。しかし、二匹目のドジョウはいないと久しく言われているのに、二匹目がいて、しかも、容易に捕まえることができる…
“開発の鉄人”がこっそり教える虎の巻 #092
新事業・新商品開発の現場にいると、ビジネスモデルというか事業スキーム(枠組み)というのか、世の中には実に様々な事業形態があって、それが時代とともに目まぐるしく変わっていることに気付くのである。例えば、通信販売の技術が進化しているのはもちろんだが、事業形態そのものも劇的に進化して、今やスマホを触るだけ…
“開発の鉄人”がこっそり教える虎の巻 #091
想定外で何か良いことがあると、「やはり、悪いことはできない」と言うことがある。照れ隠しもあるだろうが、良いことがあってうれしいという素直な表現である。そして、今まで悪いことをしていなかったからこそ、このような良いことがあるという、ちょっとした自慢話でもある。
“開発の鉄人”がこっそり教える虎の巻 #090
浮き世(うきよ)と言う。この世のこと、現実生活や人生という意味だ。元々は憂き世と書いて、辛い(つらい)ことが多く、この世は無常(永遠不変のものはなく人生ははかないこと)であるということだ。確かにそうだ。楽しい時もあるが、どちらかと言えばこの世は辛いことの方が多いように思う。たまに、憂き世離れをしたく…
“開発の鉄人”がこっそり教える虎の巻 #089
DNAとは、デオキシリボ核酸のことで、一般的に遺伝子と言う。先祖から子孫へと連綿と伝わるもので、DNAによって顔立ちや体つき、そして個性や性格といった精神的な特性までが、代々受け継がれて行くのである。そして、このDNAというものは、人間や動物の世界だけでなく、開発にもDNAがあって、大事な役割がある…
“開発の鉄人”がこっそり教える虎の巻 #088
二兎を追うなと人は言う。しかし、二兎を追うのもいいじゃないか。しかも、しっかりと追えば、二兎どころか三羽も四羽(ウサギはこう数える)も手に入れることができるかもしれないのだ。二兎を追う者は一兎をも得ず。昔の人はいいことを言ったものだ。私もずっとこの教えを守り、一つのことに打ち込んできた。この仕事もそ…
“開発の鉄人”がこっそり教える虎の巻 #087
一度失敗したら、それで人生が終わると信じている(ような)人がいるらしい。おっとどっこい、そんなことがあってたまるか。神様がちゃんとほとぼりを冷ましてくれるのだ。最近、メンタルで悩み苦しんでいる人が多くなった。私の身近にも、そのような人をお見掛けするようになったが、お気の毒と言うだけで済む話ではない…
“開発の鉄人”がこっそり教える虎の巻 #086
物質には相(そう)と界面がある。界面とは、均一な液体や固体の相(物質の状態)が他の相と接している境界のことだが、この相や界面をしっかりと観察することが、開発において、とても大事なことだと思うのだ。開発をするとき、相や界面が大事だなんて、誰も聞いたことはないと思う。しかし、ビジネスにも相と界面があり、…
“開発の鉄人”がこっそり教える虎の巻 #085
悪たれ口をたたくと言う。悪いことや悪ぶった物言いのことで、反抗的で嫌みなこと言うことだ。しかし、時にはあえて悪たれをついて、物事の本質を伝えたり、誤解を解いたり、諭したりしている人を見ることがある。このような人を、私は悪たれ職人と言うのである。
“開発の鉄人”がこっそり教える虎の巻 #084
発明のポイントと言うか、発明の最も基本となる新規性や進歩性の原理を解決原理と言う。解決と原理という二つの言葉の組み合わせなので、一般的に使われているかと思うが、実は、特許発明の世界でしか使わない言葉である。しかしこの解決原理、特許や発明の時だけではなく、日常の様々な場面で、いつも、何かの問題解決を直…
“開発の鉄人”がこっそり教える虎の巻 #083
ある程度の歳になると、難しい問題や困難に対しての抵抗力と言うか免疫力が、益々強くなっているように思う。それは、単に鈍くなっているのではないかと言われるかもしれないが、それはボケではない。様々な経験を通じて、物事に対処するチカラが強くなっているのである。
“開発の鉄人”がこっそり教える虎の巻 #082
よく、手離れを良くしたいと言う。商品やサービスを提供した後、いつまでも客と関わっていては、それだけ手間が掛かって効率が悪い。だから、売ってしまったらそれでおしまいにしないともうからないと言うのである。しかし、本当にそうなのだろうか。
“開発の鉄人”がこっそり教える虎の巻 #081
どうも、開発にも更年期があるようだ。更年期とは女性特有の成熟期から老年期へと移行する前後数年間のことをいう。そして、更年期障害と呼ばれる症状が現れることが多く、ホルモンのバランスが崩れるために、冷えやのぼせ、めまい、動悸、頭痛、腰痛、肩こり、不眠、食欲不振など、要するに体調が悪くなるのである。