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 2014年4月下旬~5月上旬に、国内大手電機メーカー各社が2013年度決算を発表した。各社の連結業績を見ると、市況がボトム期を脱し、極端に円高だった為替も是正された影響で、前年度からは収支が大きく改善した企業が多かった。この点については素直に喜びたい。だが、半導体事業に焦点を当てると素直には喜べないのが実情だ。

メモリー好調の東芝、課題はシステムLSI

 東芝の2013年度決算は、全社売上高6兆5025億円、営業利益2908億円。このうち半導体は売上高1兆1827億円、営業利益2258億円(ストレージ事業を含む)。実に全社営業利益の78%を半導体が叩き出している。2014年度の同社見通しは、半導体は減収減益としているが、全社営業利益の過半を半導体が担う構造に変わりはない。ネガティブなニュースが多い国内半導体産業において、同社の半導体、特にメモリー事業は「砦」のような存在と言えよう。

 ただし、システムLSI事業は他の国内企業と同様に課題が多く、減退傾向が続いている。ルネサス エレクトロニクスや富士通セミコンダクターからシステムLSI事業の経験者を大量にスカウトするなど、巻き返しを図ろうとしているが、具体的な方針や戦略はまだ見えない。半導体をコア事業と位置付ける東芝は、工場の閉鎖や事業の売却といった選択肢は選ばないだろう。だが稼働率の低い大分工場や岩手工場にも何らかの改善策を施す必要があるはずだ。

ルネサスは今後もリストラが続く見通し

 ルネサス エレクトロニクスの2013年度決算は、全社売上高8330億円(うち半導体が7968億円)、営業利益676億円。233億円の営業赤字だった前年度からは大きく改善したが、リストラ費用540億円(うち人件費関連290億円)を計上するなど、当期純損益は53億円の赤字となった。

 鶴岡工場はソニーへ売却したが、ルネサスには他にも閉鎖または譲渡予定の工場や事業所が多数ある。その都度、リストラ断行や特損の計上が行われる見込みである。

 同社はマイコン事業に経営資源を集中させる一方、それと共存させるはずのアナログ&パワー半導体事業は、もともと製品力が弱い上に生産ラインが老朽化しており、具体的な立て直し策を打ち出せていない。SoC事業は車載用途を除いて縮小させる計画であり、やはり事業全体がリストラの対象となっている。

 これほど多くのリストラ案件を抱えている現状では、どのタイミングでどれくらいの特損が計上されるか分からず、会社は通期予想を発表することができないでいる。2016年度には2ケタの営業利益を目指すとしているが、逆に言えばそれまでリストラが継続されることを示唆している。